
第一種電気工事士の試験はどんな問題が出る? 資格を取得したい方必見!
2016/07/27
2021/04/07
電気工事士は、学生だけでなく社会人にも取得希望者が多い資格です。電気工事士の資格は難易度の割には需要が高く、またより高度な資格への足がかりにもなります。
そこで今回は、第一種電気工事士の試験内容や勉強のコツなどをご紹介しましょう。
- 第一種電気工事士とはどのような資格?
- 電気工事士、第一種と第二種の違い
- 第一種電気工事士の資格をいかせる職場とは?
- 第一種電気工事士の資格を取得する方法
- 第一種電気工事士の資格取得までの流れ
- 第一種電気工事士の試験対策
- 第一種電気工事士に関するよくある質問
第一種電気工事士は受験資格がいりません。しかし、試験合格後の免状申請をするためには条件があります。これを知らない方も少なくないので、今回は申請の条件なども詳しくご紹介していきましょう。電気工事士の資格取得を目指す方はぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.第一種電気工事士とはどのような資格?
電気工事とは、配線や配電盤、さらに受電設備を設置したり修理したりすることです。どのような施設も、長時間快適に過ごすためには電気設備がかかせません。第一種電気工事士は、一般用電気工作物および500kW未満の自家用電気工作物の工事ができる資格のことです。
第二種電気工事士が一般用電気工作物しか工事できなかったのに対して、第一種電気工事士の資格は、大規模商業施設や中小の工場の電気設備も工事ができます。ですから、電気工事士として独立開業を目指している方はぜひ取得しておきたい資格です。
2.電気工事士、第一種と第二種の違い
第一種電気工事士は、第二種電気工事士の上位資格になります。そのため、前述したように工事ができる電気工作物が増えました。
また、5年ごとに経済産業大臣の指定を受けた講習機関が実施する定期講習を受講しなければなりません。つまり、できることが増えた分義務も増えたということです。さらに、第一種電気工事士の資格を取得するには、試験を受けるか認定を受けて申請をしなければなりません。
この申請をするためには、5年以上の電気工事の実務経験が必要です(特定の学校で単位を取得した場合は3年)。つまり、第一種電気工事士は実務経験が3年~5年以上ないと資格を取得することはできないのです。
3.第一種電気工事士の資格をいかせる職場とは?
第一種電気工事士の資格をいかせる職場は、電気工事を請け負う業者やビルメンテナンス業者などいろいろあります。ビルメンテナンス事業は、都市部の再開発が進むにつれて、高層ビルが増えて需要が伸びている業種です。第一種電気工事士の資格を取得していると、小さな電気設備の故障くらいは自分で直せますので重宝されるでしょう。
そして、第一種電気工事士の資格を取得していると、各都道府県の指定窓口に届け出を出せば、「登録電気工事業者」として独立が可能です。第二種電気工事士よりできることが多いので、資格取得と同時に独立する方も少なくありません。また、電気工事を請け負う会社と業務提携を結ぶ形で仕事を請け負う方もいます。
4.第一種電気工事士の資格を取得する方法
第一種電気工事士の資格を取得する方法は、実務経験を積んだ後試験を受験して合格するか、電気主任技術者の資格を取得して5年以上の実務経験を積む必要があります。試験を受けて合格してから実務経験を積むという方法もありますが、試験に合格しただけでは、電気工事士の資格は得られません。ですから、試験に合格してから実務経験を積みたい場合は、事前に第二種電気工事士の資格を取得しておく必要があります。つまり、まず第二種電気工事士の資格を取得し、実務経験を積んで第一種電気工事士の試験を受けるのが、一番順当な方法です。
5.第一種電気工事士の資格取得までの流れ
この項では、第一種電気工事士の資格を取得するまでの流れをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
5-1.受験を申し込む方法
第二種電気工事士と同様に、「一般財団法人電気技術試験センター」が執り行っています。受験を申し込むには、ホームページから申し込むのが最も簡単です。
また、ゆうちょ銀行(郵便局)の払込取扱票も利用できます。受験料はインターネットによる申し込みの場合が10,900円、ゆうちょ銀行からの申し込みは11,300円です。ただし、団体で受験を申し込む場合は払込取扱票による申し込みしかできませんので注意してください。
5-2.資格試験の難易度
第二種電気工事士が、60%以上の合格率だったのに対し、第一種の場合は25%~35%とぐんと合格率が落ちます。つまり、格段に試験が難しくなるのです。第二種では計算問題で一つだけ公式を使えばよかったのに、第一種の場合は複数の公式を組み合わせないと解けない問題がたくさん出てきます。
また、暗記する内容も増えるのです。さらに、実技試験の難易度もアップします。ですから、全く実務経験もなく電気のことも知らない方が試験を受けた場合、合格できる可能性はかなり低いでしょう。「とりあえず、電気系統の資格を取得したい」という場合は、第二種からチャレンジしていってください。
5-3.試験内容
第一種電気工事士の試験も、第二種と同じ筆記試験と実技試験です。
筆記試験は、
- 電気に関する基礎理論
- 配電理論および配線設計
- 電気応用
- 電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料および工具並びに受電設備
- 電気工事の施工方法
- 自家用電気工作物の検査方法
- 配線図
- 発電施設・送電施設および変電施設の基礎的な構造および特性
- 一般用電気工作物および自家用電気工作物の保安に関する法令
の9科目です。第二種が7科目だったので2科目増えていますね。実技試験も前述したように難しくなっているのです。
5-4.試験日について
第一種電気工事士の試験日は、筆記試験が10月上旬、そして実技試験が12月上旬になっています。第二種のように上半期、下半期と分かれていませんので注意してください。
なお、第一種電気工事士試験と第二種電気工事士試験を同時に受験することは可能です。たとえば、同時に受験して両方合格した場合、第二種電気工事士の申請だけを行い、実務経験を積んでから、改めて第一種電気工事士の申請を行うこともできます。試験に合格したという実績は永久に消えません。ただし、第一種だけ受かってしまい第二種が不合格になってしまうと、申請ができなくなるので注意しましょう。
5-5.電気主任技術者や高圧電気工事技術者の資格取得者の場合
この二つの資格を持っている場合は、実務経験履歴を都道府県知事に送付すると免状が交付されます。どの自治体にも申請窓口がありますので、分からない場合は市役所などに問い合わせてみましょう。ただし、電気主任技術者の場合は5年以上、高圧電気工事技術者の場合は3年以上の実務経歴が必要です。
5-6.筆記試験免除の条件
前年度実技試験にだけ不合格になった方や、電気主任技術者の資格を取得していても実務経験が5年に満たない人は、筆記試験だけ免除になります。この場合は実技試験だけ受けて合格すれば、申請が可能になるのです。筆記試験合格者の場合、免除になるのは次回に行われる試験1回だけですので、必ず合格できるように努力しましょう。
5-7.合格したら?
合格した場合は、各都道府県知事に申請を行います。このときに、合格通知書が必要ですので、必ず保管しておきましょう。
特に、申請までに時間が必要な場合は注意してください。どの都道府県にも必ず申請窓口がありますので、自治体のホームページで確かめて申請に行きましょう。申請をしないと資格取得となりませんので気をつけてください。
5-8.講習会について
第一種電気工事士の資格所有者に義務づけられている講習は、現在自分で申請して受講するシステムに変化しました。講習会は経済産業大臣の指定を受けた講習機関で行われています。どのような機関で行われているのか詳しいことが知りたい方は、経済産業省のホームページを確認してみてください。
講習は自家用電気工作物に関する知識、事故例、法律などの講義が行われます。「一般財団法人電気技術試験センター」で実施されている講習は、9時30分~16時45分までと丸1日がかりです。
ほかの機関も若干の時間のずれはありますが、ほぼ丸1日かかります。10分以上の遅刻、中座、そして早退をすると受講したとは認められないので注意しましょう。講習は全国各地で月1~5回の割合で開催されています。詳しいことは、それぞれの機関で確認してください。申し込み方法は各機関のホーム―ページから行われるほか、電話などでも申し込みができます。
受講料は9,000円で、クレジットカード、銀行振り込みなどでお支払いください。5年ごとですので忘れないようにししましょう。お知らせのはがきなどが来ることはありません。「一般財団法人電気技術試験センター」でも実施していますので、そこで受講するのが一番確実です。
6.第一種電気工事士の試験対策
この項では、第一種電気工事士の試験対策をご紹介していきます。勉強のコツやおすすめの参考書などもご紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
6-1.第一種電気工事士の勉強のやり方
第一種電気工事士の難易度は「普通」です。これは、特にテクニックを覚えなくても普通に勉強していれば合格できる、という意味。ですから、独学でも勉強が可能です。特に第二種の資格を持っている人は、応用問題を解く感覚で勉強していれば大丈夫でしょう。とはいえ、計算問題などが複雑になりますので、間をおかずに受験する場合は理解ができないこともあると思います。その場合は、通信教材の利用がおすすめです。
書店に並んでいる参考書よりも高価ですが、添削もしてくれますし質問も受け付けてくれます。特に、一度受けてみて不合格だったという方やどうしても一発で合格したいという方は、通信教材がおすすめです。
6-2.実技試験対策
実技試験も第二種と一緒で、キットを買ってきて練習しましょう。使う道具もニッパやドライバーなど二種と変わりません。二種を取得している方は、道具をそのまま流用してください。持っていない方は、インターネット通販で必要な道具がセットになったものが販売されています。本番前に何度も練習して道具も使い慣れておくとよいでしょう。
6-3.おすすめ参考書
独学で勉強する場合は、参考書を読んで過去問を解く、のくり返しが一番の勉強方法です。ここで、おすすめ参考書をいくつかご紹介します。
全部絵で見て覚えるすい~っと合格シリーズ
第一種、第二種ともにいま最も人気の参考書です。絵が多いので初心者でもとっつきやすく、理解しやすいでしょう。
第一種電気工事士筆記試験完全マスター
参考書の出版社としては老舗のオーム社からの参考書です。3回目の改訂版ということで、昔ながらの愛用者にはおすすめ。ある程度知識がある人向けです。
第一種電気工事士筆記試験 計算問題の攻略
計算問題に特化した参考書です。第一種の試験は第二種に比べて格段に筆記試験が難しくなっています。苦手な方はこのような参考書も利用してみましょう。
6-4.毎日30分でもいいので勉強しよう
第一種電気工事士の勉強は毎日続けることが大切です。週末にまとめて勉強しようと思うと、どうしても集中力が続かなくなってしまいます。週末に半日続けて勉強しようと思っている方は、1日1時間の勉強に切り替えましょう。通勤時間や昼休みの時間を利用すれば、そのくらいの勉強時間は獲得できます。
7.第一種電気工事士に関するよくある質問
Q.第二種電気工事士を取得していなくても、受験は可能ですか?
A.可能ですが、申請はほぼ不可能だと思います。ほかの電気関係の資格をまずは取得しましょう。
Q.第一種電気字工事士の勉強を知識ゼロから始めても大丈夫ですか?
A.参考書を選び間違えなければ大丈夫ですが、まずは第二種の取得をおすすめします。
Q.難易度は第二種に比べてどのくらいあがっているのでしょうか?
A.単純に2倍とは言えませんが、そのくらい難しくなっていると感じる方もいます。
Q.実務経験がないと申請は不可能でしょうか?
A.はい、例外はありません。必ず実務経験がいります。
Q.講習は自分で申し込まないと受講できませんか?
A.電気工事士が多数在籍している会社では、会社に講師を招く場合もありますが、基本的には自分で申し込みましょう。
まとめ
今回は第一種電気工事士についていろいろとご紹介しました。誰でも受験できますが、申請には実務経験が必要だということを忘れずに、受験計画を立てましょう。