認定電気工事従事者とはどんな資格?申請や資格取得の方法

はてなブックマークに追加 Twitterでシェア Facebookでシェア

私たちの生活になくてはならないものといえば、電気です。電気は発電所で作られて電線によって運ばれます。それを建物内で使えるようにすることが電気工事。この電気工事は資格がないと行えません。

そこで今回は電気工事にかかわる資格の中の「認定電気工事従事者」について詳しくご紹介します。

  1. 認定電気工事従事者とは?
  2. 認定電気工事従事者の資格を取得するには?
  3. 認定電気工事従事者の資格取得までの流れ
  4. 認定電気工事従事者に関するよくある質問

電気工事に関する資格は、需要も高く社会人にも人気の資格です。しかし、資格によってできる工事に違いがあり、どの資格を取ったらよいのか迷っている方もいるのではないでしょうか? この記事を読めば、認定電気工事従事者だけでなく、そのほかの資格についても理解が深まります。電気工事に関する資格を取得したいという方も、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。


1.認定電気工事従事者とは?

はじめに、認定電気工事従事者はどのような資格かということについてご紹介します。電気工事士を行える資格というと、電気工事士が有名ですが認定電気工事従事者と何が違うのでしょうか?

認定電気工事従事者は、第二種電気工事士の有資格者が仕事の幅を広げるために、3年間の実務経験を積んだ後で講習を受け、取得することが一般的です。ただし、第一種電気工事士の資格を取得していれば申請だけで認定電気工事従事者になることができます。第一種電気工事の交付を受けるには、5年以上の実務経験が必要です。しかし、試験自体に受験資格は定められていません。そのため、全く無資格無経験の方でも試験を受け、合格することは可能です。

第一種電気工事士の資格を取得したものの交付を受けられない方が、認定電気工事従事者の申請をして一定範囲の工事に従事することもあります。ですから、認定電気工事従事者の中にも技術力が高い方もいれば、実務経験がない方もいるのです。

第二種電気工事士に、認定電気工事従事者の資格が加われば仕事の範囲も広がりますので、転職にも有利に働くでしょう。

1-1.認定電気工事従事者にできること

認定電気工事従事者とは、工場やビルなどの自家用電気工作物のうち、簡易電気工事(電圧600V以下で使用する自家用電気工作物)を行うことのできる資格です。電気工事を行える資格といえば、電気工事士が最も有名でしょう。

電気工事士には一種と二種があり、どちらも受験資格は定められていませんが、一種の免許の交付には実務経験が必要です。つまり、第一種電気工事士は、未経験者が受験はできるけれども免許が交付されません。実質、実務経験者だけが受験できる資格なのです。第二種電気工事士は、一般用(住宅、店舗)などの600ボルト以下で受電する設備の工事に従事できる資格になります。

こちらの方は、実務経験がなくても試験に合格すれば免許が交付されるのです。ですから、未経験者はまず第二種電気工事士を取得してから実務経験を積み、第一種電気工事士の資格を取得するのが一般的な流れになります。しかし、店舗や一般住宅よりも工場やビルなどの自家用電気工作物の工事の方が件数は多いのです。そのため、「第二種電気工事士の資格は取得しているが、生かせない」というケースもあります。

なので、一定の実務経験を積むか、講習を受講して認定電気工事従事者の資格を取得することで、自家用電気工作物の工事ができようにするのです。つまり、認定電気工事従事者とは、一般用電気工作物の工事資格しかない電気工事士が、自家用電気工作物の工事ができるようになる資格。単独では取得できません。

また、第二種電気工事士と認定工事従事者の資格があれば、電気工事の業者として開業するために必要な電気工事業登録を行えます。

1-2.認定電気工事従事者の資格を取得するとメリットがある方とは?

認定電気工事従事者は、前述したようにほぼ第二種電気工事士のための資格のようなものです。しかし、これ以外にも電気主任技術者の有資格者が取得してもメリットがあります。電気主任技術者というのは、事業用の電気工作物の保安監督ができる資格です。事業用の電気工作物を設置しているところでは、定期的な点検が義務づけられています。電気主任技術者になると、これらの点検が行えるのです。

電気主任技術者の資格は、需要が高い割には受験資格もないため、社会人にも人気の資格。しかし、電気主任技術者の資格だけを取得した場合、自家用電気工作物の工事は行えません。そのため一定期間の実務経験を積むか、講習を修了して認定電気工事従事者の資格を取得すればできることも広がるでしょう。

1-3.認定電気工事従事者ができること・できないこととは?

電気工事法における電気工事とは、500キロW未満の自家用電気工作物と一般用電気工作物の工事を指します。そのうち、認定工事士の資格を取得すると、600V以下のネオン設備、非常用予備発電、および電線路を除く自家用電気工作物を工事できるようになるのです。第一種電気工事士は、ネオンと非常用予備発電の工事こそできませんが、そのほか、600V未満の自家用電気工作物の工事はすべて可能です。

認定電気工事従事者の場合は、600V以下で電線路を除く自家用工作物のうち簡易電気工事が行えるようになります。そのため、第二種電気工事士の資格を取得しただけで、独立をしたいという人にもおすすめです。ちなみにネオンと非常用予備発電の工事を行うには、それぞれ特殊電気工事士(ネオン・非常用電源)の資格を取得すると工事が可能になります。

認定電気工事従事者になれば自家用電気工作物の工事ができるんですね。
第二種電気工事士と認定工事従事者の資格があれば、電気工事として開業することができるのです。

2.認定電気工事従事者の資格を取得するには?

認定電気工事従事者の資格を取得するには、電気工事士、電気主任技術者の有資格者。そしてそのほか同等以上の知識および技能を有していると経済産業大臣が認定した者、となっています。しかし、最後の認定者はほとんどありませんので、電気工事士か電気主任技術主任者の資格を取得するのが最も手っ取り早いでしょう。資格を取得するためには、それぞれ実務経験を3年以上積むか、電気工事技術講習センターで講習を受講する必要があります。

今すぐ認定電気工事従事者になりたいという場合は、資格取得をした直後に講習を申し込むとよいでしょう。特に急がないという場合は、3年間実務経験を積んで申請するという方法があります。また、すでに3年以上の実務経験を積んでいるのならば、取得しておいて損はないでしょう。

認定電気工事従事者の資格を取得するのに、電気工事士か電気主任技術主任者の資格が必要なんですね。
はい。その上で実務経験を3年以上を積むか、講習を受けなければいけません。

3.認定電気工事従事者の資格取得までの流れ

では、実際に認定電気工事従事者の資格を取得するにはどのように行えばよいのでしょうか?
この項では、それを具体的にご紹介します。取得したい方はぜひ参考にしてください。

3-1.申請で申し込む方法

第一種電気工事士の資格保持者、第二種電気工事士、電気主任技術者の資格を取得し3年以上電気工事、および保安関係の実務経験がある方は申請をすれば認定電気工事従事者の資格が取得できます。

申請先は各都道府県の産業保安監督部です。経済産業省のホームページの「政策」のページから、各産業保安監督部の一覧ページが閲覧できます。

住民票の置いてある自治体の産業保安監督部に申請しましょう。分からないことがあったら、産業保安監督部に問い合わせてください。

3-2.必要書類について

交付申請を行うには、以下の書類が必要です。

  • 収入印紙(4,700円分)
  • 発行後3か月以内の住民票
  • 写真(履歴書用の4×3cmのもの)
  • 返信用封筒
  • 電気工事士法第4条の2第4項の認定申請書(産業保安監督部のホームページからダウンロード可能)
  • 認定電気工事従事者認定証交付申請書(産業保安監督部のホームページからダウンロード可能)
  • この他、申請する産業保安監督部が提出を求めている書類

これは、講習を受講した方も、第一種電気工事士の資格を取得した後で講習を受けずに申請をする方も必要になります。

3-3.講習を受講する方法

認定電気工事従事者の講習は、電気工事技術講習センターが主催しています。ちなみに、特殊電気工事士の講習や第一種電気工事士定期講習も同じ団体が主催しているのです。

講習は上半期と下半期に分かれており、それぞれの日程はホームページ上で発表されます。平成28年度の上半期講習はすでに募集が締め切られているので、申し込みはできません。下半期の日程は、また後日日程が発表になるのでホームページをまめにチェックしましょう。

この講習は、第二種電気工事士か電気主任技術者に合格した方しか受講できません。「多分合格するだろう」という見込みでは申し込めませんので注意しましょう。そして、年に2回しか講習は実施されないので、受け忘れないように注意してください。

3-4.講習を申し込む方法

講習は、「インターネットによる申し込み」「ホームページから申込用紙をダウンロードして郵送にて申し込み」「申込用紙を郵送してもらい送り返す方法」と三つの申し込み方法があります。

インターネット経由でも申し込みが一番簡単でしょう。パソコン以外にもスマートフォンからでも申し込めます。申込期間は募集が開始になってからほぼ1か月です。講習は全国各地で行われるので、遠出をする必要はありません。受講料は12500円です。

3-4.講習の内容

講習は丸1日かけて行われます。午前10時開始~午後5時終了。使用する工具や施工方法、法令、などが講義されます。修了試験などはありませんが、きちんと講義は受けましょう。途中退出などをしてしまうと、修了が認められません。講義をきちんと受けると認定証が渡されます。

3-5.講習を受けた後は?

講習を受けただけでは、認定電気工事従事者になれません。講習を修了した認定証を添えて、同じように産業保安監督部に申請をしましょう。電気工事技術講習センター経由で行えますし、申請の仕方も教えてもらえます。

3-6.更新の必要性はあるの?

認定電気工事従事者は、一度申請すれば更新の必要はありません。ですから、申請だけ忘れないようにすれば大丈夫です。

資格取得までの流れが詳しくわかりました。すごくためになります。
資格取得に必要な講習の開催は年2回ですので、受け忘れてしまうことのないようにしましょう。

4.認定電気工事従事者に関するよくある質問

Q.認定電気工事従事者にならないと自家用電気工作物の工事は行えないのですか?
A.第二種電気工事士と、電気主任技術者だけの資格保持者は行えません。第一種電気工事士と電気主任技術者の資格を持っている場合は、認定電気工事従事者にならなくても問題ないのです。

Q.独立開業とはどういうことですか?
A.電気工事関係の会社を個人で立ち上げるとき、第二種電気工事士の資格だけでは電気工事業登録を行えません。そのため、「第一種電気工事士の資格は取るけれど、それまでのツナギとして認定電気工事従事者の資格を取る」という方も少なくないのです。

Q.講習当日につごうが悪くなってしまいました、どうしましょうか?
A.講習は年に2回しか行わないので、受講ができないからといって別の日に振り替えしてもらうことはできません。気をつけましょう。

Q.電気工事士がたくさん在籍している会社ですが、講習に来てもらうわけにはいきませんか?
A.そのようなことはできません。必ず講習会の会場に行きましょう。

Q.特殊電気工事士の講習と同時に受講したいのですが可能ですか?
A.大丈夫ですが、特殊電気工事士の講習は東京都だけで行われます。地方に住んでいる方は日程を調整して参加しましょう。

認定電気工事従事者について知っておきたいことがわかって助かりました!
資格取得を目指す方はぜひ参考にしてくださいね。

まとめ

今回は認定電気工事従事者の資格についてご紹介しました。第二種電気工事士の資格保持者がこの資格を取得すると、働ける場所が一気に広がり給料もアップするかもしれません。資格が取得できる機会がありましたら、ぜひ取得してみましょう。