
電気主任技術者試験の受験者必見!!資格の活かし方や試験対策は?
2016/05/26
2019/03/12
転職やスキルアップのために資格を取りたいと考えている社会人の方は多いでしょう。
世の中にはたくさんの資格がありますが、電気関係の資格は需要も高く取得しておいて損はありません。今回はそんな電気系の資格の中でも需要の高い電気主任技術者についていろいろとご紹介しましょう。
電気主任技術者試験の受験資格や勉強のコツ、電気主任技術者の資格取得後の働き方など役に立つ情報が盛りだくさんです。
電気主任技術者は決して難易度の高い試験ではありませんが、それなりの勉強は必要になります。具体的な働き方や資格取得後に得られる年収などが分かれば、勉強にも身が入るでしょう。電気主任技術者の資格取得を考えている方は必見ですよ。
1.電気主任技術者とはどんな資格?
はじめに、電気主任技術者とはどんな資格かということについてご説明します。資格を取得していると出来ることや資格の種類、さらに必要とされている職場なども詳しくご紹介しましょう。
1-1.電気主任技術者の職務や歴史、選任義務がある場所とは?
電気主任技術者とは、事業用電気工作物の工事、維持および運用に関する保安の監督をさせるため、設置者が電気事業法上置かねばならない電気保安のための責任者となれる資格です。
もう少しかみ砕いて説明しましょう。私たちの生活には、電気が欠かせません。たくさんの方が一度に電気を使う場所ほど、高い電圧で受電する設備が必要になります。このようなものを「事業用電気工作物」といいます。電気主任技術者は、この事業用電気工作物の維持運用や保守点検を行える資格なのです。
電気主任技術者の歴史は古く、1896年(明治29年)には、電気事業取締規則によって主任技術者の制度が確立されました。1911年(明治44年)には、資格検定制による電気主任技術者の制度がスタート、現行のような電気主任技術者の制度になったのは、1965年(昭和40年)のことです。
その後、1995年(平成7年)に電気事業法の大改正が行われ、資格の根拠条文が法44条となりました。事業用電気工作物を設置している事業主は、工事・維持および運用などの保安の監督者として、電気主任技術者選任が法令で義務づけられています。ですから、電気主任技術者は、工場や商業施設、大規模マンションや発電所など多くの施設で需要がある、社会的地位の高い資格といえるでしょう。
1-2.電気主任技術者の種類
電気主任技術者は、第1種・第2種・第3種の三種類に分かれています。電気主任技術者の資格に興味のある方ならば、「電験3種」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。これは第3種電気主任技術者の略語です。
1種を取得すると、すべての電気工作物の工事・維持および運用に関する保安の監督ができます。2種は、170,000V未満の電気工作物、そして、3種は50,000V未満の電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く)の工事・維持および運用に関する保安の監督ができるのです。
1-3.電験3種が注目されやすいのはなぜ?
電気主任技術者の資格試験の中で、最も受験者数が多いのは3種(電験3種)です。これは、電験3種が最も受験難易度が低いためです。
また、数多くある資格の中には、最高位のもの以外はあまり役に立たないものも少なくありません。しかし、電気主任技術者の場合は、3種でも電気工作物の工事・維持および運用に関する保安の監督ができる設備がたくさんあるのです。ですから、まずは電験3種を取得しようという方も少なくありません。
2.電気主任技術者の取得するメリット・資格を生かせる職場
この項では、電気主任技術者の資格を取得するメリットと、資格を生かせる職場などをご紹介していきます。「資格を取得すればこんなことができる」と具体的に分かれば、勉強にも力が入りやすくなるでしょう。
2-1.電気主任技術者の資格を取得するメリットは?
電気工事を行うだけならば、電気工事士という資格があります。電気主任技術者よりも簡単な試験ですので、資格取得を目指している方の中にも取得している方はいるでしょう。しかし、電気工事士では、電気工作物の維持や運用に関する保安の監督ができません。そのため、取得すればスキルアップが図れます。
また、できることが増えますので資格手当などがつく会社も多いでしょう。さらに、保安の監督ができるようになると、出世したり独立したりもできます。実際、会社で数年間保守点検の仕事をした後、独立する資格保持者は多いのです。独立すれば働き方もより自由になりますし、頑張った分だけ収入も増えるでしょう。
2-2.資格を生かせる職場とは?
電気主任技術者の資格を生かせる職場として代表的なのは、民間の電気設備保守点検会社やビル管理会社などです。電気設備保守点検会社は、企業や施設と契約して電気設備の保守や点検を行います。ビル管理会社は、契約したビルに管理者を派遣して設備全体の保守点検を行うのです。ビル管理の中には、電気設備の保守点検も含まれるため、電気主任技術者の資格取得者は重宝されます。
また、一定期間電気設備の保守点検業務に就いていると、独立ができるのです。独立をすると、電気設備保守点検会社と契約を結び個人事業者として働く方が多いでしょう。
2-3.電気主任技術者の年収とは?
電気主任技術者の年収は、電気設備保守点検会社やビル管理会社に勤めているケースだと、平均で300万~400万円になります。独立した場合は500万円~600万円前後になります。
3.電気主任技術者試験について
この項では、電気主任技術者試験について詳しくご説明していきます。受験資格や科目、合格率など参考になることが盛りだくさんですよ。
3-1.電気主任技術者の受験資格
電気主任技術者の資格を取得する場合は、試験を受けて合格する方法と、認定を受ける方法があります。試験を受ける場合は、受験資格は必要ありません。国籍、年齢、性別を問わずに受験できます。認定の場合は最低でも3年以上の実務経験か、大学、短大、専門学校の学歴が必要です。ですから、電験3種だけ試験で合格し、2種や1種を認定で取得するという取得の方法もあります。
3-2.申込期間、受験料、試験日など
例年ですと、電気主任技術者試験の申込期間は、5月下旬から6月上旬となっています。早めに「電気主任技術者センター」のホームページで確認しておきましょう。郵送かインターネットで申し込みが可能です。
郵送の場合は、「電気主任技術者センター」のホームページで発表されている配布場所で、必要書類を受け取って申し込みましょう。受験料は、第1種、第2種が12800円(インターネット申し込み12400円)、第3種が5200円(インターネット申し込み 4850円)です。受験料の違いは、第1種、第2種は二次試験があるためです。
2019年度の受験日は第1種、第2種は一次試験が8月31日、二次試験が11月17日です。第3種が9月1日になります。全国の大学や専門学校が試験会場になりますので、申し込む際に希望試験場所を記すのを忘れないようにしましょう。
3-3.試験科目
- 第1種、第2種一次試験 4科目 理論、電力、機械、法規(マークシートの多肢選択方式)二次試験 2科目 電力・管理、機械・制御 (記述方式)
- 第3種 4科目 理論、電力、機械、法規(マークシート5択)
3-4.合格基準
各科目60点以上で合格になります。この科目合格は3年間有効ですので、電験3種の場合は3年かけて4科目合格すれば試験合格になります。そのため、1年目、2年目と科目を絞って勉強する方も多いでしょう。
3-5.合格率
平成30年度の合格率は、1種が4.0%、2種が4.0% 3種が9.1%です。平成30年度の第3種の試験は、42,976人が受験し、合格者は3,918人でした。
3-6.問い合わせ先
試験の場所、受験後の手続きなど分からないことがあった場合は、一般財団法人、電気技術者試験センター(電話 03-3552-7691)に問い合わせましょう。
4.電気主任技術者の試験対策
この項では試験に合格する対策方法をご紹介します。どんな勉強方法があるのでしょうか?
4-1.通学講座で勉強する方法
電気主任技術者の通学講座は、ほかの資格に比べると圧倒的に数が少ないです。各自治体で行っている職業訓練校などで、直前講座が開かれるケースが多いですが、あっという間に満員になってしまうことも珍しくありません。ですから、通学講座に通えるチャンスがあった場合は、すぐに申し込みましょう。電気主任技術者は電気数学の知識が必須です。ですから、全く知識がないところから受験する場合は、通学講座に通えれば有利でしょう。
4-2.通信教材で勉強する方法
電気主任技術者の通信教材は、複数の会社から出ています。各社特色あるテキスト作りをしていますから、資料を取り寄せて見比べてもよいでしょう。中には、講義形式のDVDがついているところもあります。独学で勉強するよりも詳しい参考書が手に入りますし、分からないところはメールで質問もできるのです。知識に自信がない方はもちろんのこと、一度独学で受験して失敗したという方にもおすすめでしょう。
4-3.独学で勉強する方法
電気主任技術者試験の参考書は、書店などで販売されています。それらを購入し、自分で勉強する方法です。独学で勉強する場合は、ある程度の電気数学の知識がないと難しいでしょう。そのため、電気工事士などの資格をすでに取得している方や大学や専門学校で電気工学について学んでいる方向けの勉強方法です。最も安上がりではありますが、モチベーションの維持や分からないところが出た場合の解決方法を考えておく必要があるでしょう。
5.学習方法のコツ
さて、いくら良い参考書を手に入れても勉強方法を工夫しなければ合格は難しいでしょう。この項では、学習方法のコツをご紹介します。参考にできることは、どんどん取り入れてください。
5-1.合格するために必要な勉強時間はどのくらい?
電気主任技術者の試験範囲は広いです。しかも、4科目もありますので、合格した方の多くが最低でも試験日の半年前から勉強を始めています。中には最初から3年計画を立てて科目を絞って勉強する方もいるでしょう。しかし、それではリスクが大きいです。
絞った科目の試験に合格できなければ、2年前に合格した科目の免除期間が終了してしまい無駄になります。ですから、電験3種の場合は、最初から4科目をしっかり勉強しましょう。平均して2~3時間。試験直前になると5時間以上勉強したという方も珍しくありません。「毎日勉強するなんて無理」と思われる方もいるかもしれませんが、たとえ15分でも毎日勉強する習慣をつけましょう。週末まとめて勉強しようなどと思っていると、試験範囲の勉強が終わらなくなってしまいます。
5-2.勉強のコツ
電気主任技術者の試験を受ける方は、社会人が多いでしょう。学生時代のように毎日まとまった勉強時間を確保するのが難しい場合は、隙間時間をうまく使ってください。
たとえば、通勤時間、昼休みの時間、寝る前などです。10分あれば公式の一つくらい覚えられます。そのためどこでも参考書を持っていく習慣をつけましょう。
5-3.おすすめ参考書
5-3-1.石橋千尋著 電気書院刊 「これだけシリーズ」
http://www.amazon.co.jp/dp/448511905X/?tag=a8-affi-206305-22
電気主任技術者試験のおすすめ参考書として、必ず名前が挙がるシリーズです。初心者でも分かりやすいということで、人気があります。ただし、問題が少なめなので過去問と併せて利用しましょう。
5-3-2.早川義晴著 オーム社刊 「優しく学ぶシリーズ」
http://www.amazon.co.jp/dp/4274209938/?tag=a8-affi-206305-22
図解による解説が多い参考書です。とっつきやすいため、電力を専門的に学んだことがない方にもおすすめでしょう。学生にも人気があります。
5-3-3.電験3種教育研究会編集 実教出版刊 「徹底解説シリーズ」
http://www.amazon.co.jp/dp/4407337826/?tag=a8-affi-206305-22
工業高校で使われている教科書などを制作している出版社から出ている参考書です。図説と文章のバランスもよく、分かりやすいという方も多いでしょう。
5-4.各科目の勉強法
電気主任技術者は、第3種でも工業高校の電気科を卒業したレベルが必要です。そのため、全く電気の勉強と縁のなかった方は、参考書を読んでも理解できないという可能性があります。その場合は、「電気数学」の参考書から読み始めましょう。
電気数学が理解できれば、公式も理解しやすいです。電気主任技術者の試験は、公式を覚えてそれを自由自在に使えるかどうかで合否が決まります。ですから、公式を覚えてどんな出され方をしても使いこなせるようになるまで参考書を読みこみましょう。
また、過去問の復習も大事ですが、過去問と同じ問題はほぼ出ません。ですから、過去問を丸暗記して合格という手段は使えないのです。理論、電力、機械、法規とどれから勉強しても構いませんが、難易度で行けば機械>理論>電力=法規になります。そのため、理論と機械をまずは重点的に勉強しましょう。
6.合格までの道のり
では最後に、合格までの道のりを簡単ではありますがご紹介しましょう。勉強をしつつ必要な手続きを忘れないようにしてください。
6-1.勉強の計画を立てよう
電気主任技術者の試験は、4科目もあります。1種、2種の場合は二次試験もあるのですから、さらに科目が2つ増えるのです。効率よく勉強するためには計画が大切です。
とはいえ、あまりぎっちり組んでしまうと修正が効きません。余裕を持って、何月くらいまでに参考書をすべて終了、過去問題を始めるなどくらいで大丈夫です。少なくとも半年以上前から勉強は始めましょう。
6-2.申込日を忘れずに
電気主任技術者の試験は9月ですが、申し込みは5月下旬~6月上旬までです。受験案内は2019年5月上旬より配布予定ですので、忘れないようにしてください。インターネットで行った方が便利ですし、受験料も割引になります。
6-3.模試を受けてみよう
通信教材で勉強をしている場合や、直前講習など通学講座に通った場合は模試を受ける機会もあると思います。実力を試す絶好の機会ですので、ぜひ受けてみましょう。独学で勉強している方は、過去問題を4科目分実際の試験と同じ時間で解いてみてください。
本番の試験と同じ時間で解く練習を一度もしないで、実際に試験を受けてしまうと緊張してしまい、実力を発揮できないことがあります。できれば月に一度のペースで、本番の試験時間でやってみるのがよいでしょう。
6-4.必要ならば、受験会場を下見しよう
受験票が送られてくると、受験会場が分かります。必要ならば下見をしましょう。都市部の場合は、当日は公共交通機関が混みあうこともあります。余裕を持って早めに家を出ましょう。
6-5.試験前日~当日まで
試験前日は早く休みましょう。ここまで来たら遅くまで勉強しているとかえって当日頭が働きません。当日は忘れ物の無いようによく持ち物を確認して家を出てください。試験問題が配られたら、まずは最後まで目を通し解ける問題から解いていきましょう。全問正解する必要はありません。解けない問題はどんどん後回しにしていきましょう。
マークシートに記入した番号は、問題の選択肢に丸をつけておいてください。そうすれば、答え合わせが楽です。最後まであきらめずに問題を解きましょう。
6-8.合格発表
一般財団法人、電気技術者試験センターのホームページ上で発表されますので、確認しましょう。発表日当日は混みあう恐れがありますので、一日ずらしてもよいでしょう。
6-9.合格後
合格した場合は、必要な手続きに使う書類が送付されてきますので、必要事項を記入の上、提出してください。しばらくすると免状が送られてきます。
7.よくある質問
Q.電気主任技術者は、全く知識がない状態から勉強しても合格できますか?
A.知識ゼロから勉強して合格する方もたくさんいるのです。しかし、最低限電気数学は理解していないと、公式を覚えても使いこなせないでしょう。全く知識のない方は、電気数学の勉強から始めてください。
Q.女性でも電気主任技術者として働けますか?
A.女性でも活躍している方はたくさんいますし、受験者は年々増えているのです。安心して受験してください。中には、太陽光発電所の主任技術者になっている方もおられます。
Q.いきなり1種に挑戦しても大丈夫ですか?
A.大学で電気工学を専攻している場合ならば、大丈夫でしょう。それ以外の場合は、かなり難しいです。まずは3種合格を目指した方が現実的でしょう。
Q.3年で合格できなければ合格した科目はどうなりますか?
A.無効になってしまいます。もう一度最初から受け直しになりますので、ぜひ3年以内に合格しましょう。
Q.当日いきなり都合が悪くなってしまった場合はどうしたらいいですか?
A.残念ですが、別の日に受験のし直しはできません。試験日は必ず予定を開けておきましょう。
まとめ
今回は電気主任技術者についていろいろとご紹介しました。今年の試験の受付がもうすぐ始まります。受験をする方は早めに申し込んでおきましょう。これから受験を考えている方は、さっそく勉強を始めてください。今年の試験までは時間がなくても、来年の試験には間に合います。