
電気技術者・電気主任技術者の仕事内容・資格の取得方法が知りたい!
2017/09/08
2020/07/03
電気技術者は、発電所や変電所、それに工場、ビルなどの受電設備や配線など、電気設備の保安監督を務める大切な仕事を行います。私たちの生活に必要不可欠な電気は、設備を通してオフィスや工場・家庭へと送り届けているのです。その設備がきちんと稼働していなければ、電気を使用することができません。電気主任技術者の仕事はやりがいがあり、国家資格でもあるので社会的ニーズがあるのです。では、一体どのような仕事をしているのでしょうか?
本記事では、電気技術者の基礎知識や電気主任技術者の仕事内容・資格試験・勉強法などについて説明します。
この記事を読むことで、電気主任技術者の仕事内容や資格などについて詳しく知ることができます。就職・転職や資格取得を考えている方はぜひチェックしてください。
1.電気技術者の基礎知識
仕事内容について知る前に、電気技術者の基礎知識を深めることが大切です。一体、どのような者なのでしょうか。
1-1.電気主任技術者について
電気技術者といえば「電気主任技術者」のことで、電気設備がある場所では必要不可欠な存在です。発電所や変電所・工場・ビル・商業施設などの受電設備や配線など、電気設備の保安監督を行う者を指しています。電気主任技術者は、国家資格のひとつで、試験に合格して取得する方法があります。
1-2.制度について
電気事業法43条1項において、「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事・維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、有資格者から主任技術者を選任しなければならない」と定められています。電気主任技術者は、保安の制度が定められており、電気工作物の設置者が選任しなければなりません。
1-3.役割・業務について
電気工作物は、工事中や操作ミス・劣化・保守管理不備によって事故が発生する可能性があります。特に、事業用電気工作物は、発電所や変電所・工場など大規模な施設に設置されていることが多く、取り扱いや保安管理をきちんと行わなければなりません。電気主任技術者が、保安規程に基づき、事業用電気工作物の工事・維持及び運用に関する監督を行うからこそ、安心・安全に稼働できます。
1-4.区分・種類について
電気主任技術者の資格は、取り扱うことができる電圧によって第1種・第2種・第3種の3つに分けることができます。それぞれ取り扱える電圧は、以下のとおりです。
- 第1種:すべての事業用電気工作物
- 第2種:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
- 第3種:電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所をのぞく)
1-5.必要性・選任義務
電気事業法の保安規程によると、電力会社などが事業用電気工作物を設置する場合は、保安監督を行う主任技術者を選任しなければならないと定められています。原則、一般家庭以外で電気を使用するところに、電気主任技術者が必要です。電力会社をはじめ、不特定多数の人が出入りする商業施設や店舗・工場・発電所や変電所などが、電気主任技術者の選任を必要とする施設になるでしょう。
2.電気主任技術者の仕事内容について
それでは、電気主任技術者の仕事内容や主な職場について説明します。
2-1.仕事内容は?
簡単に説明すると、電気主任技術者の主な仕事内容は事業用電気工作物の工事・維持・運用に関する保安監督です。電気設備の点検と保安・修理・電気工事の監督という大切な役割を担っています。特に、電気設備の点検と保安が主要任務となるでしょう。施設が大きくなるほど電気設備も大きく、系統が複雑化します。そのため、毎日点検をして異常がないかどうか確認しなければなりません。大規模な施設の多くは電気主任技術者が常駐していますが、小さい店舗では1人の電気主任技術者が数店舗をまわることもあります。
2-2.主な職場は?
電気主任技術者の主な職場は、電気関連会社やビル管理会社・事業所・工場などです。大手の電力会社から中小企業まで、幅広い職場が電気主任技術者を必要としています。電気は私たちの生活に必要不可欠なものなので、職に困るような状況にはなりません。求人も安定している職といえるでしょう。
3.電気主任技術者の資格について
では、電気主任技術者の資格を取得すれば、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。
3-1.資格概要
電気主任技術者は国家資格のひとつで、電気設備の保安監督をするために必要です。電気主任技術者を選任する際は、第1種~第3種の免状を持っている人の中から選出しなければなりません。また、国家試験が「電気主任技術者試験」と称することから、「電験(でんけん)」と呼ばれています。
3-2.取得のメリット
資格を取得すれば、転職・就職に有利です。電気主任技術者を求めている職場は多数存在しているため、有資格者を優先して採用します。電気主任技術者は、専門の知識を持っている証明なので転職・就職のメリットは大きいのです。仕事の経験を積めば、より大きな施設や会社で働くことができるでしょう。
また、資格手当など給与面にもメリットがあります。基本給以外の給与を得ることができるため、収入もアップできるでしょう。
4.電気主任技術者になるには?
電気主任技術者になるめの一つの方法として、国家試験に合格する方法があります。受験資格・試験概要・試験内容・難易度や合格率について説明します。
4-1.受験資格
電気主任技術者に受験資格はありません。学歴・年齢・性別・国籍などの制限はないため、誰もが受験できる国家資格となります。試験合格者であれば、実務経験なしでも資格取得が可能です。
4-2.試験概要
電気主任技術者試験の申し込み方法や日程・場所・受験料について説明します。
4-2-1.申し込み方法
申し込み方法は、郵送、またはインターネット受付のどちらかです。郵送の場合は、試験を実施している「一般財団法人 電気技術者試験センター」へ申込書を申請しなければなりません。インターネット受付の場合は、申し込み受付期間中にサイトへアクセスして申し込みの手続きをします。願書申し込み受付期間は、5月下旬~6月中旬ごろまでとなっているので忘れないように注意してくださいね。
4-2-2.日程・場所
試験日程は、資格の種類によって異なります。第1種・第2種は一次試験が9月上旬ごろ、二次試験が11月下旬ごろです。第3種は、9月上旬ごろに試験を実施します。試験場所は、全国各地のセンターになるため、詳細はホームページで確認してください。
4-2-3.受験料
受験料は、資格の種類と申し込み方法によって異なります。
- 第1種・第2種:郵送申し込み 12,800円/インターネット申し込み 12,400円
- 第3種:郵送申し込み 5,200円/インターネット申し込み 4,850円
インターネット申し込みのほうが安くなるので、できるだけ費用を抑えたい方はインターネット申し込みを選択すると良いでしょう。
4-3.試験内容
第1種・第2種電気主任技術者はマークシート方式の一次試験と、記述方式の二次試験があります。第3種電気主任技術者はマークシート方式だけの試験です。それぞれの試験科目と出題範囲を以下にピックアップしてみました。
第1種・第2種の一次、第3種の試験
- 理論:電気理論・電子理論・電気計測及び電子計測
- 電力:発電所及び変電所の設計及び運転・送電線路及び配電線路の設計・運用・電気材料
- 機械:電気機器・パワーエレクトロニクス・電動機応用・照明・電熱・電気化学・電気加工・自動制御・メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
- 法規:電気法規(保安に関するものに限る)及び電気施設管理
第1種・第2種の二次試験
- 電力・管理:発電所及び変電所の設計及び運転・送電線路及び配電線路の設計・運用・電気施設管理
- 機械・制御:電気機器・パワーエレクトロニクス・自動制御及びメカトロニクス
4-4.難易度・合格率について
近年の合格率を見てみると、第1種と第2種がおよそ2~5%、第3種がおよそ7%前後です。国家資格としての難易度は、「難関」の部類に入ります。最初から、上位資格となる第1種の取得を目指す方もいますが、第3種から挑戦して実務経験を積みながら挑戦するのも方法のひとつです。勉強を積み重ねていかなければ取得できない、難関な資格試験といえるでしょう。
5.電気主任技術者の勉強法について
試験に合格するためには、勉強のコツをつかむことが大切です。テキスト・参考書の選び方や過去問・注意点について説明します。
5-1.勉強のコツ
ライフスタイルに適した勉強法を選んでください。たとえば、仕事で忙しい日々を送っている方は、勉強時間の確保が難しいと思います。独学は緻密な勉強計画が必要で、分からないところも自分で調べなければなりません。通学するとしても、行けなくなったときはお金が無駄になります。そこで、おすすめしたいのが通信講座です。通信講座は、自分のペースで勉強ができるので仕事との両立ができるでしょう。
5-2.テキスト・参考書の選び方
テキストや参考書は1冊で十分です。逆に、何冊も選んでしまうと、内容がごちゃごちゃになり、本当に大切な部分が理解できなくなってしまいます。自分にとって理解しやすく分かりやすい内容のものを選んでください。試験の重要ポイントが押さえられているかも、要チェックです。
5-3.過去問について
テキストや参考書で、ある程度知識を深めた後は、過去問を何度も解いてください。過去問から類似問題が出題されることもあるため、過去問は必要です。「一般財団法人 電気技術者試験センター」のホームページで、過去問が無料ダウンロードできます。何度も解くことで、苦手分野も把握できるでしょう。
5-4.注意点
休日を利用して何時間も勉強するという方を見かけますが、毎日コツコツ勉強を積み重ねることが大切です。一気に勉強するのではなく、毎日30分間でも良いので勉強に充ててください。毎日テキストを読み、過去問を解くことで頭にインプットされます。
6.電気技術者に関してよくある質問
電気技術者に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.年収はいくらぐらいか?
A.電気主任技術者の平均年収は、350万~400万円前後です。会社に勤めている場合は400万円前後ですが、独立すると500~600万円まで上がる可能性があります。しかし、独立してから軌道にのるまでは、とても大変なことです。
Q.どのくらいで独立ができるのか?
A.最初は、会社に勤務しながら経験を積んで実力を上げていきます。独立した方の多くは、約5年間だけ会社に在籍し、その後独立しているようです。ただし、独立をしても何年もかけて顧客を開拓していかなければなりません。ある程度の時間がかかることを、きちんと理解してから独立を目指しましょう。
Q.講習はあるのか?
A.「一般社団法人 日本電気協会」などで、電気主任技術者の講習会が実施されています。講習会は、試験の出題範囲の中から重要項目を抽出し、分かりやすく解説する内容です。講習会の内容や受講料などは、主催団体によって異なるため、注意してくださいね。
Q.受験せずとも資格取得の方法はあるのか?
A.工業高校の電気科・高等専門学校や専修学校・短期大学・大学の電気工学科などの認定校において、指定された単位を取得し卒業した方は、認定制度が利用できます。また、法令に定められた実務経験をクリアすることが必要です。認定制度に関しては、こちら(一般社団法人 電気技術者試験センター)をチェックしてください。
Q.ほかにも取得したほうが有利な資格は?
A.電気工作物の工事ができる「電気工事士」を取得すると役立ちます。実際に、電気工事士などで修業を積んでから、電気主任技術者の資格を取得する方も多いのです。電気関連の資格は、さまざまな現場で役立つでしょう。
まとめ
電気主任技術者は、オフィスビルや工場などに設置してある電気設備の保安監督を行う国家資格のひとつです。電気は私たちの生活になくてはならないものなので、電気の安定供給のため、電気主任技術者を求めている企業や会社が多数存在しています。
特に、すべての事業用電気工作物が取り扱える第1種電気主任技術者は、大規模な施設で働くことができるでしょう。仕事の経験を積むほど、昇給・昇格も期待できます。資格取得を目指している方は、仕事内容や試験概要を事前に把握しておきましょう。