
電気工事士の資格を取ろう! 電気工事士の仕事内容は?
2016/08/23
2020/07/03
電気工事士は人気の資格です。しかし、どのような仕事内容なのか分からなくて、本当に取得するべきなのか迷っている、という方も多いことでしょう。
電気工事士がどのようなことをするのか知らずに取得しまった結果、自分には無用の資格で後悔することになることがあります。逆に、知らないがゆえに、どれだけ自分のためになる資格であるのかに気がつけず後悔するなどということもあることでしょう。
そこで、今回は電気工事士の基礎知識についてご紹介していきます。
- 電気工事について
- 電気工事の種類について
- 建築電気工事について
- 鉄道電気工事について
- 電気工事の施工管理について
- 電気工事の需要と職場について
- 電気工事に関連する国家資格
- 電気工事の資格取得を成功させるためのポイント
- 電気工事士にまつわるよくある質問
これらの記事を読むことで、電気工事士の仕事内容や資格の取り方などといった基礎知識を得ることができます。電気工事士の魅力を一緒に学んでいきましょう!
1.電気工事について
1-1.電気工事とは?
電気工事とは、建設業における送電線、配電盤、電灯、電力機器などの設備工事のことです。日本における正確な定義では『一般用電気工作物、または自家用電気工作物を配置・変更する工事のこと』とされています。
1-2.電気工事の必要性
技術が発展し、ハイテクな電子機器が次々に生まれる昨今、電気がなければ料理も作れないほど建物における電気は必要不可欠な時代です。当然電気工事の重要性も高まっており、将来性も高いといえるでしょう。
1-3.準拠する法律
電気保安4法というものがあります。『電気工事業法』『電気工事士法』『電気用品安全法』『電気事業法』の四つの法律をまとめた呼び方です。
『電気工事業法』は電気工事業にまつわる法律。『電気工事士法』は電気工事を行う者の資格や義務などにまつわる法律です。『電気用品安全法』は電気用品の安全確保について定められた法律で、『電気事業法』は電気事業や電気工作物の保安確保にまつわる法律となっています。
1-4.必要な資格
電気工事を行うには『電気工事士』の資格が必要です。電気工事士には第1種電気工事士と第2種電気工事士の2段階に分けられています。
また、場合によっては電気主任技術者の資格も必要となってくるでしょう。電気主任技術者には1種・2種・3種の三種類があり、1種が最も上の資格です。
2.電気工事の種類について
2-1.種類
電気工事には、大きく分けて『一般用電気工作物』と『事業用電気工作物』があります。
『一般用電気工作物』とは、住宅や小規模店舗などのように、600V以下の電圧の工作物ことです。
『事業用電気工作物』は、自家用電気工作物と電気事業用工作物の総称となっています。『自家用電気工作物』とは一般用・事業用以外の電気工作物になります。工場やビルなどが代表的です。『電気事業用工作物』とは電気事業者の電気工作物を指します。つまり、発電所や変電所、送配電線路などが代表的です。
2-2.資格の違いによる分類
第2種電気工事士は、電気工事士の初級資格です。一般用電気工作物(600V以下の工作物)に限り工事を行うことを許されています。
第1種電気工事士になると、一般用電気工作物はもちろん、事業用電気工作物についても工事を行うことが可能です。ただし、最大電力500kW未満の需要設備に限られます。それ以上の場合は、電気主任技術者の保安監督のもとに工事をしなければなりません。
第3種電気主任技術者は5万ボルト未満で、第2種電気主任技術者は17万V未満、第1種になると電圧の制限がなく、すべての電気工作物にも関わることができます。ただし、電気主任技術者の資格だけでは、一般用電気工作物の取り扱いができません。第2種電気工事士の資格が必要になります。
2-3.資格の難易度について
電気工事士と電気主任技術者、共に難易度の高い資格です。しかし、主任技術者の方が基本的には難しい資格でしょう。たとえば、第1種電気工事士と第3種電気主任技術者の試験範囲で見ても、第3種電気主任技術者の試験の方が電気理論や電気工学論、電気工作にまつわる法規などが多く、難しくなっています。
第2種電気主任技術者の試験となると、電気の専門学校を卒業しているのと同等の知識がなければ合格することはできません。一般財団法人電気技術者試験センターが公開している情報によれば、第2種主任技術者の合格率は『3%』程度。すでに知識を持ち、万全に勉強をしてきた人たちでこの確率です。
第1種電気主任技術者となるとさらに難しくなります。電気専門大学卒業レベルの問題が出るのは当たり前で、さらにそれ以上の知識が必要となるでしょう。合格率は『2%以下』と非常に難関。合格率3%の壁を突破してきた第2種主任技術者たちでもこの合格率であることを考えると、いかに難関であるかが分かってもらえるはずです。
とはいえ、電気工事士がの資格が簡単なわけではありません。電気主任技術者の資格が難しすぎるだけです。第2種電気工事士こそ50%程度の合格率がありますが、第1種電気工事士になるには合格率20%の壁を突破しなければいけません。
3.建築電気工事について
建築電気工事とは、一般住宅、ビル、工場など、建築物を対象にした電気工事のことです。
工事種類は主に以下のようなものに分けられています。
- 屋内配線
- 外線配線
- 冷暖房設備(エアコンなど)
- ビル管理
3-1.屋内配線
一般住宅における屋内配線では、VVFケーブルを壁の中に張り巡らせ、天井の照明器具や壁のコンセント、スイッチなどにつなげます。
3-2.外線配線
外線配線は最も多い工事の1つでしょう。電柱から建物へ電線をつなぐ作業です。また、最近は都市部の無電柱化が進められており、地中に電線を通すことも多くなってきています。
3-3.冷暖房設備(エアコンなど)
エアコンの取り外し、取り付け、クリーニングなどを行います。いわゆる、電気屋さんの仕事の代表例ですね。
3-4.ビル管理
ビル管理も電気工事士の業務の1つです。電気設備や水道設備、空調設備やボイラー、あるいは自動ドアやエレベーターに至るまで。多種多様な工事の管理を行います。
3-5.必要な資格について
一般住宅ならば第2種電気工事士。ビルや工場の場合は第1種電気工事士の資格が必要です。
また、ビル管理の場合には総合的な仕事となるため、電気工事士の資格だけではできません。ボイラー技士や消防設備士など、マルチな資格が必要となるでしょう。
4.鉄道電気工事について
鉄道電気工事とは、その名のとおり鉄道の電気工事を行うことです。夜間に作業を行います。工事種類は以下のようなものが一般的です。
- •変電設備工事
- 線路設備工事
- 駅設備工事
4-1.変電設備工事
電力会社から流れてきた電気を電車用に変圧する部分を『変電設備』と呼びます。変電所の建設やメンテナンスが主な内容です。
4-2.線路設備工事
電車の動力や照明、空調といった電力を供給する部分のことを『線路設備』と呼びます。電車に電気を送るトロリ線や変電所からトロリ線に電気を送る電線、変電所までの送電線。また、それらを支える支持塔や信号などの設備やメンテナンスを行います。
4-3.駅設備工事
駅の改札や電光掲示板、照明、空調設備などを『駅設備』と呼びます。これらの設備作業やメンテナンス作業が主な仕事内容です。
4-4.必要な資格について
規模によって大きく変わってきます。最低でも第2種電気工事士が必要です。規模が大きくなれば、第1種電気工事士、場合によっては主任技術者の資格が必要となってくるでしょう。
5.電気工事の施工管理について
5-1.施工管理とは
簡単にいえば、現場の作業工程を管理する作業のことです。たとえば、仕事をする技術者たちを統率したり、工事が円滑に進むように施工のプランや予定を決めたりします。
5-2.必要な資格
電気工事における施工管理には電気工事施工管理技士の資格が必要となります。電気工事施工管理技士には1級と2級があり、1級が最も上の資格です。
1級電気工事施工管理技士になると、建築設備士の試験を受ける資格を得ることができます。建築設備士とは建築士の要請に応えて建築設備の設計や工事管理に関するアドバイスを行える国家資格です。
6.電気工事の需要と職場について
6-1.電気工事の需要と将来性について
電気工事の将来性は高いといわれています。それは需要が高まっているにもかかわらず、従事している人が減っている傾向にあるからです。つまり、電気工事を職にすれば、ライバルは少ないにもかかわらず仕事はたくさんあるということになります。
需要が高まっている理由は、高度な電子社会となったため電気設備が必要不可欠であること。そして、2020年に東京オリンピックを控えていることが理由です。
6-2.電気工事士の安定性について
すでにお話ししたように、電気工事に従事する人の数は少なくなってきています。そのため、リストラなどのリスクが低く安定しているといえるでしょう。ただし、それは大きな企業に所属している場合です。
これが開業する側になると、従事者の少なさがデメリットとなります。せっかく独立しても人材が足らず、廃業に追い込まれてしまうこともあるからです。
6-3.仕事は大変かどうか
まず、仕事内容を覚えることが一苦労です。また、人手が足りていないため、一人にかかる作業の負担が大きい傾向にあります。しかも、作業内容は肉体労働が多いですから、決して楽な仕事ではありません。
6-4.キャリアアップについて
キャリアアップには主に三つの方法があります。すなわち、『独立する』『責任者を目指す』『資格を複数所持する』の三つです。
独立の場合、『認定電気工事従事者』の認可を得てから行うのが一般的です。『認定電気工事従事者』は第1種電気工事士を取得するか、3年以上の実務経験をして認定電気工事従事者認定講習の課程を修了した第2種電気工事士に与えられます。
責任者を目指す場合は、第2種・第1種電気工事士を経て電気工事施工管理技士を取得する方法。または、主任技術者を目指す方法が一般的です。
複数の資格を得ることによってもキャリアアップができます。できることが多くなればなるほど、それだけ会社内での地位は向上するでしょう。
7.電気工事に関連する国家資格
7-1.電気工事士
電気工事士には年齢などの受験資格はありません。ただし、第1種電気工事士の試験は実務経験が必要ですので注意しましょう。
7-2.認定電気工事従事者
認定電気工事従事者に認定されるには、以下に記載された条件のどれかを満たす必要があります。
- 第1種電気工事士に合格した者。
- 第2種電気工事士として3年以上の実務経験を有し、認定電気工事従事者認定講習の課程を修了した者。
- 電気主任技術者、あるいは電気事業主任技術者として3年以上の実務経験を有し、認定電気工事従事者認定講習の課程を修了した者。
7-3.電気工事施工管理技士
所定の資格・学歴と実務経験を得ている。あるいは、8年以上の実務経験を満たしている人が受験資格を有します。ただし、学科試験だけの場合は、実務経験がなくても受験が可能です。
ですから、先に学科試験だけ合格しておき、実務経験を積んでから実技試験を受けるという方法でも資格を得ることができます。また、第1種電気工事士の免状を所有している人は、1級電気工事施工管理技士の受験資格があります。
詳しい受験資格は以下のHPを参考にしてください。
●2級電気工事施工管理技士のご案内:http://www.fcip-shiken.jp/den2/
7-4.電気主任技術者
電気主任技術者の受験に資格制限はありません。第1種・第2種・第3種共に、どのような人であっても受験することが可能です。
電気主任技術者には認定制度があります。高等専門学校や大学の工学部など、特定の認定校を卒業することで資格の認定してもらうことができる制度です。
認定校については、以下のHPを参考にしてください。
●認定校一覧:http://www.gc-net.jp/denki-engo/ninteikou.html
7-5.特殊電気工事資格者
特殊電気工事資格者とは、ネオン工事や非常用予備発電装置工事を行う際に必要な資格です。工事の種類によって認定資格が変わります。
7-5-1.ネオン工事
- 電気工事士としてタイムスイッチ、点滅器、ネオン変圧器、ネオン管などの設置や変更の工事に関する実務経験が5年以上あること。その上で、経済産業大臣によって定められているネオン工事の講習課程を修了した者。
- 電気工事士の資格を有し、経済産業大臣によって定められているネオン工事の試験に合格した者。
7-5-2.非常用予備発電装置工事
- 電気工事士として原動機、発電機、配電盤などの非常予備発電装置に関する実務経験が5年以上あること。その上で、経済産業大臣によって定められている非常用予備発電装置工事の講習課程を修了した者。
- 電気工事士の資格を有し、かつ非常用予備発電瀬尾うち工事の講習課程を修了してあること。その上で、非常用予備発電装置工事の試験に合格した者。
7-6.消防設備士
消防設備士には大きく分けて甲種と乙種があります。このうち、乙種には受験資格はありません。誰でも受験することが可能です。しかし、甲種の場合には非常に細かい受験資格があります。
詳しい受験資格については、以下のHPをご確認ください。
●受験案内:https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/qualified.html
7-7.消防設備点検資格者
消防設備点検資格の認定講習を受けるには、一定の資格を満たすことが必要です。受講資格は非常に多岐にわたります。しかし、基本的に第1種・第2種電気工事士の資格を有していれば、受講資格を得ることが可能です。
詳しい受講資格については以下のHPを参考にしてください。
●受講資格と証明:http://www.fesc.or.jp/jukou/setsubi/kousyu/tebiki2.html
7-8.建築設備士
建設設備士の受験資格には学歴と資格、さらに学歴に応じた実務経験が必要です。
7-8-1.学歴
- 建築、機械、電気の4年制大学を卒業……2年以上の実務経験。
- 建築、機械、電気の短期大学、高等専門学校、専門学校を卒業……4年以上の実務経験
- 建築、機械、電気の高等学校、中学校を卒業……6年以上の実務経験
7-8-2.資格
- 1級電気工事施工管理技士
- 1級管工事施工管理技士
- 1級建築士
- 空気調和・衛生工学会設備士
- 電気主任技術者(1種・2種・3種)
8.電気工事士にまつわるよくある質問
Q.電気工事士の試験を合格してから免状の申請を行うまでの期限はどのくらいですか?
A.電気工事士の場合、第1種・第2種共に、申請期限はありません。ただし、免状が手元にないと、たとえ試験を合格していても仕事を行えませんので注意しましょう。
Q.免状の申請から、実際に交付されるまでにはどのくらいの日数がかかりますか?
A.基本的には申請から20日ほどで承認されます。承認後に郵送などで免状が送られるため、22~25日程度はかかるでしょう。
また、書類に不備があるような場合は、申請のやり直しなどを行わなければいけないので、さらに長くなってしまうことがあります。
Q.旧電気工事士免状の資格は有効ですか?
A.1987年以前、第1種・第2種という区別がなかったころの電気工事士資格を、旧電気工事士と呼びます。もちろん、旧電気工事士の資格も有効です。しかし、扱いは第2種工事士となっていますので注意しましょう。
Q.結婚などで氏名変更した場合はどうなりますか?
A.電気工事士免状を交付している都道府県に申し出れば氏名変更手続きができます。定期講習を受講する際、講習修了の記載をしてもらうには、現在の氏名と免状の氏名が一致していることが必要です。つまり、氏名が違うと講習を受けていないことにされてしまいます。ですから、氏名変更手続きは必ず行っておきましょう。
Q.定期講習とは何ですか?
A.電気工事士法によって、第1種電気工事士は定期講習の受講が義務づけられています。定期講習を受講せずに5年以上経過すると法律違反となり、場合によっては罰則を受けなければいけません。
定期受講の猶予期間は5年です。最後に受講してから5年以内に次の講習を受ける必要があります。ちなみに、第2種電気工事士の場合は受講の義務はありません。
受講先の案内については、指定講習機関のHPで確認できます。指定講習機関とは、経済産業大臣の指定を受けた講習機関のことです。受講先を選ぶ際には注意しましょう。
指定講習機関は主に以下の団体です。
- 一般財団法人電気工事技術講習センター:http://www.eei.or.jp/
- 株式会社東京リーガルマインド:http://www.lec-jp.com/denkou/teiki/
- 株式会社日建学院:http://www.nik-g.com/
- 株式会社総合資格学院法定講習センター:http://hotei.shikaku.co.jp/
まとめ
今回は電気工事士にまつわる基礎的な知識についてご紹介しました。電気工事士はとても将来性と安定性のある資格です。今回の記事をきっかけとして、取得を検討してみることをぜひおすすめします。