電験3種の資格は就職や転職にどのくらい有利? 需要のある職場は?

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「転職や就職に有利になる資格を取りたい」と考えている方は多いでしょう。世の中にはたくさんの資格があります。その中でも、電気に関わる資格は需要も高く転職や就職に有利です。

そこで今回は、電気に関わる資格のひとつ、電験3種の就職先についてご説明します。電験3種は取得しているだけでも、就職には困らないものなのでしょうか? また、どのような資格なのかということもご説明します。電験3種の資格に興味があるという方や電験3種の資格を活かせる仕事が知りたいという方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

  1. 電験3種とはどんな資格?
  2. 電験3種の資格を取得するには?
  3. 電験3種の資格が活かせる職場は?
  4. 未経験では就職が難しい?
  5. 電験3種の試験について
  6. 電験3種と就職に関するよくある質問

1.電験3種とはどんな資格?

電験3種とは、第3種電気主任技術者という資格の略称です。電気主任技術者とは、一定以上の電圧を使用する事業所の電気設備を保安監督できる資格のことです。工場や発電所、さらに商業施設などは、一般家庭よりも多くの電力を使います。

また、このような施設の電気設備が不備を起こして使用不能になると、多くの方に影響が出るでしょう。ですから、専門の資格者を選任して保安監督するのです。電気に関わる資格としてはほかに電気工事士がありますが、こちらは工事ならできますが監督はできません。電気主任技術者は電気工事士を束ねる資格といってもよいでしょう。電気主任技術者には1種・2種・3種までの種類があり、3種は電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物が扱えます。

電験3種は、事業用電気工作物の点検や保安監督が行える資格なんですね。
はい。電気事業法で定められている自主点検は、電気主任技術者の資格を持っている人でないと行えません。

2.電験3種の資格を取得するには?

電験3種の資格を取得するには、二つの方法があります。ひとつは、資格試験を受けて合格する方法です。もうひとつは、認定を受ける方法です。認定校で所定の単位を取得した方が、所定の実務経験を積んでから、経済産業省の保安監督部に申請をして資格を取得する方法です。ただ、認定の方法は保安監督部に何度も出向いて面接を受けないといけません。きちっと、口頭試問に答えられないと認定されない可能性もあります。

認定による申請ができない方は資格試験を受けてください。なお、電験3種の試験内容は、工業高校の電気科を修了するレベルといわれています。

また、合格率は10%前後と決して高くはありません。ですから、合格するためには腰を据えて勉強しなければ合格は難しいでしょう。

試験を受けて資格を取得するのが一般的なんですね。
はい。受験資格も定められていないので、電気に関する仕事をしていない人でも受験できます。

3.電験3種の資格が活かせる職場は?

では、電験3種を取得すると、どのような職場で働けるのでしょうか? この項では、電験3種の資格を活かせる職場をご紹介します。

3-1.一定以上の電圧を使用する場所

工場や変電所、商業施設など多くの電気を使う場所の電気設備を保守点検する仕事には、電験の資格が必要です。電験3種は電気主任技術者の中で最も扱える電圧が低いですが、商業施設などで働くには十分でしょう。

また、今は電気主任技術者の選任が必要のない電圧の設備でも、安全のために有資格者に管理を依頼する施設がたくさんあります。電気設備の保守点検の求人には、電験の資格が必須のところも少なくありません。

3-2.電気設備の保安監督を請け負う会社

企業や施設から電気設備の保安監督を請け負う会社も、電験3種の有資格者の需要が高いです。電気工事士の資格を持っていてもこのような会社に就職できますが、電気主任技術者の資格を取得したほうが、より多くの仕事ができるでしょう。出世の道も開けてきます。

3-3.自営業もできる

電気主任技術者の資格を取得し、一定の期間実務経験があれば個人で保安点検の仕事を企業などから受けることができます。ですから、一定期間企業に勤めた後に独立するという方も少なくないでしょう。

3-4.一生働ける資格でもある

今は、元気な高齢者も多いです。60歳を過ぎてもまだまだ現役という方も少なくないでしょう。電気設備の保安監督業務は、不備が見つかればそれを直さなければなりません。しかし、定期的に保安点検を行っていれば、突然重大な故障が起きることはめったにないでしょう。

ですから、保安点検を定期的に行う仕事ならば、60歳以上の方でも問題なく行えるのです。なので、長年電気関係の仕事に就いていた方が定年後に電気設備の保安監督をする仕事に再就職をすることも珍しくありません。そのときに、電気主任技術者の資格が役立ちます。

資格を活用できる職場はたくさんあるんですね。
はい。しかも、定年を超えて働ける職場も豊富です。

4.未経験では就職が難しい?

電気主任技術者の真価は、電気設備に不具合が起こったときに求められます。設備によっては、電気が使えないと使用できなくなるものも多いでしょう。

また、けが人や病人が出ることもあります。ですから、不備が起こったときは速やかに復旧しなければなりません。そのときに役立つのが経験と知識です。電気主任技術者は、全くの未経験でも取得できます。

しかし、就職活動をすると「経験者」が求められることがほとんどです。ですから、電気関係の仕事は未経験だけれど電気主任技術者の資格を取ったという方は、経験が積める職場を選びましょう。

たとえば、電気工事会社や保安を請け負う会社に就職すれば、上司や先輩から仕事を教えてもらえます。いきなり設備の保安監督の仕事を請け負ってしまうと、自分ですべて行わなければならない、ということもあるのです。

また、電気主任技術者の資格を活かして働いている方のほとんどが男性です。女性の資格取得者がいないわけではありませんが、働ける場所は男性に比べて限られているのが現状ですが、太陽光発電所の電気主任技術者に女性が起用されているケースもあります。

最近では、電験3種の有資格者を求める職場は増加傾向にあります。また、電験3種の試験が難しくなっている傾向があることから、新たに取得できる方は減少傾向です。そのため、有資格者であれば未経験でも優遇される職場が増えてきています。事業用電気工作物を設置している設備だけでなく、事業用電気工作物の点検を行っている会社やビルメンテナンス業務を行っている会社などからも、求人があるでしょう。電験3種の有資格者が行える仕事は、長く続けることができますので、定年を超えても働き続けることができるのも大きなメリットです。

資格を取得していれば、未経験でも就職できるんですね。
はい。ですから、資格を取得したら活用できる職場を選びましょう。

5.電験3種の試験について

電験3種の試験は、電気技術試験センターが主催する試験を受けて合格する方法を取る方が多いでしょう。受験資格は定められていませんので、年齢や学歴・職歴・性別・国籍を問わずに受験することができます。試験科目は、理論・電力・機械・法規の4科目の択一式問題です。科目別の合格が認められているため、2年間は科目合格を持ち越すことができます。そのため、3年間かけて合格する方も珍しくありません。なお、電験3種の試験は年々難しくなっており、ここ数年の合格率は10%を切り続けています。

試験は難しそうですね。
はい。しかし、科目合格が可能なので、3年かけてすべての科目を合格できれば試験合格となります。

6.電験3種と就職に関するよくある質問

Q.電験3種は女性が取得しても活用できますか?
A.もちろんです。今は女性の技術者も増え続けています。

Q.電験3種を活用して仕事をする場合、40代でも大丈夫でしょうか?
A.はい。比較的年代が高い方が活躍しやすい業界です。

Q.独立をする場合は、店舗などを構えなければならないのでしょうか?
A.いいえ。工具さえあれば大丈夫です。仕事もあっせんしてもらえるので、営業などをすることはほとんどありません。

Q.どのくらい勉強すれば試験に合格できますか?
A.一概には言えませんが、最低でも半年以上は勉強して試験に臨む方が多いでしょう。

Q.電験3種を飛ばして2種や1種は取得可能ですか?
A.不可能ではありませんが、とても難しいでしょう。まず、3種から受験したほうがよいです。

おわりに

今回は、電験3種の資格が活かせる仕事についてご紹介しました。

まとめると

  • 電気主任技術者とは、一定以上の電圧を使う施設の保安監督を行える資格。
  • 商業施設のほか、工場や変電所などの施設の電気設備も保安監督できる。
  • 電気工事士の資格よりもできることが多い。
  • 高齢になっても仕事を続けられることもある。

ということです。

電気の保安監督というと、重労働のようなイメージを持っている方もいるでしょう。しかし、特に何もなければ計器の一通りのチェックが終わったら待機しているだけ、ということも多いのです。

また、小さいビルでは電気に関する不備の改善はすべて任務ということもあります。電球の交換や水道の修理なども行うことも珍しくないでしょう。ですから、何でも屋というような仕事をしなければならない職場もあります。ある程度何でもできる人ほど重宝されるでしょう。