
漏電の原因は何? 対策方法や予防方法は? 皆様の疑問に一挙お答え!
2017/11/27
2019/02/25
漏電とは、文字どおり電気が漏れている状態のことです。言葉自体はよく知られていますが、実際にどのような状態になっていて、何が危険なのか、いまひとつピンとこない人もいるでしょう。実際、漏電は大変危険です。感電する可能性はもちろんのこと、火災になる危険性もあります。
そこで今回は、漏電の原因と対策について解説しましょう。興味がある人は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.漏電の基礎知識
はじめに、漏電とはどのような状態を指すのか、ということや漏電が起こる場所などを解説します。なぜ、漏電は起こるのでしょうか?
1-1.漏電とは?
漏電とは、その名のとおり電気が漏れることです。一般的な電化製品はコンセントをつなぐことで電気がコードを通して製品に流れ、使用できます。電気が通る道には必ず、「絶縁体」という物質がついており、電気があちこちに通らないようにしているのです。皆様もご存じのように、電気は形がなく、水や金属などいろいろな場所を通過します。つまり、絶縁体が破損したり劣化していたりすると、電気を通したらあちこちに電気が飛び散ってしまい大変危険であり、これも漏電の一種です。
1-2.漏電の原因は?
漏電が起こるには、以下のような原因があります。
- 絶縁体の劣化
- 電化製品の劣化
- 電線に多大な負荷がかかった
- 防水対策を行っていなかった電気製品に水がかかった
- 電線に大量の水がかかった
- 電気製品の違法改造
- アースを使わずに電気製品を使った
今の電気製品は安全性が高くなり、通常の使い方をしていれば漏電をする可能性はほとんどありません。しかし、使い方を間違ったり、経年劣化をそのままにしておいたりすると、漏電が起こる危険性があります。
1-3.漏電を起こすもの
漏電は、電気が使われているものすべてに起こる可能性があります。また、電線など電気を運ぶものも漏電を起こす危険性があるでしょう。台風や地震の際、切れた電線に触ってはならないと言われているのは漏電による感電を防止するためです。また、電池を使った電気製品も、漏電の可能性があります。
2.漏電の危険性
この項では、漏電の危険性について解説します。どのような危険があるのでしょうか?
2-1.感電の危険
漏電した箇所に触れれば、感電の可能性があります。ビリビリしびれるくらいならば幸運ですが、高電圧の電気が体内を通れば、死亡する可能性があるでしょう。また、子どもは小さいので低電圧でも重症化しやすいのです。
2-2.火災の危険
電気は発熱するため、漏電をしたとき近くに可燃物があれば火災が発生する恐れもあります。阪神大震災の際も漏電火災が多数発生し、大きな被害がありました。
2-3.電気製品が壊れる危険
漏電をした状態で電気製品を使えば、電気製品が壊れる可能性があります。その製品が漏電をしていなくても、住宅や施設などで漏電が発生すれば、壊れることもあるでしょう。
3.漏電の対策、予防方法
この項では、漏電の対策や予防方法を解説します。ぜひ、参考にしてください。
3-1.漏電をしているか確かめる方法
漏電をしていると、漏電ブレーカーが落ちます。漏電ブレーカーはブレーカーについているので、これが落ちた場合は家電をすべて点検しましょう。落雷などで誤作動を起こすこともありますが、誤作動ならば漏電ブレーカーをあげて通電を再開した場合、以後は問題ありません。
3-2.漏電をしている電気製品が分かった場合
漏電をしている電気製品が分かったら、すぐにコンセントを抜きましょう。電気製品に触る際は厚手のゴム手袋など絶縁できる素材を身につけて触ります。電池式のものは、厚手のゴム手袋などをはめて乾電池を抜いてください。
3-3.漏電をしている箇所が分からない場合
電気製品を確かめても漏電をしている様子がないけれど、漏電ブレーカーが頻繁に落ちる場合は、電力会社に連絡をして電気設備を点検してもらいましょう。特に、台風のときなどは雨水が屋根裏に浸入し、配線を水浸しにして漏電が発生することがあります。また、動物が侵入して配線をかみ切ってしまうこともあるでしょう。どちらにしろ、そのまま放っておいてはいけません。
3-4.家庭で漏電を防ぐ方法
家庭で漏電を予防したい場合は、以下のようなことに注意しましょう。
- アースがついている電気製品は、アースをつけて使用する
- たこ足配線をしない
- コンセントにつなぎっぱなしの電気製品は、コンセントとコードの隙間にホコリがたまっていないか点検する
- コードの状態も定期的に点検する
- 子どもがいる家庭は、コンセントカバーをつける
- 素人が勝手に電気製品を改造しない
3-5.高電圧の受電設備がある施設の漏電予防方法
不特定多数が利用するオフィスビルや商業施設、ホテルや、工場は家庭よりもずっと高電圧の受電設備が設置されています(事業用電気工作物という)。漏電した場合、被害も大きくなるでしょう。そこで、電気事業法という法律で、事業用電気工作物の定期点検を義務づけています。この定期点検は、必ず電気主任技術者という有資格者が行わなければいけません。
現在のところ、法律や規則で、点検の頻度は定められていません、ですから、事業用電気工作物を設置している施設の所有者は、電気主任技術者と点検の頻度や方法について計画を立て、点検を行う電気主任技術者の氏名と共に、保安規程として計画書をその施設がある自治体の産業保安監督部の担当部署に提出する必要があります。ちなみに、ほとんどの施設では日常・月次・年次・緊急時の点検・工事中の点検を、必要に応じて行っているのです。なお、日常の点検は資格がなくても行えますが、そのほかの点検は電気主任技術者の資格が必要になります。
4.漏電に関するよくある質問
Q.漏電に気がつかず長い時間がたつということはありますか?
A.はい。漏電がごく小さいものだった場合は、電気料金が増えるくらいで、ほかに影響が出にくいものもあるでしょう。ですから、急に電気料金が跳ね上がった場合は、注意が必要です。
Q.漏電は自分で直すことができるでしょうか?
A.いいえ。電気工事は電気工事士の資格がなければできません。無資格者の人が直せば法律違反です。
Q.事業用電気工作物が漏電した場合、何らかの罪にとわれるのでしょうか?
A.整備不良で漏電し波及事故になった場合は、施設の所有者や電気主任技術者が責任を問われます。
Q.漏電した家電は処分するしかないのでしょうか?
A.はい。危険ですので処分してください。
Q.漏電したらすぐブレーカーが落ちるのでしょうか?
A.はい。落ちるのが原則ですがブレーカーが古い場合は故障している可能性もあります。
おわりに
今回は漏電の原因や対策について解説しました。漏電は決して珍しい事故ではありません。電気製品は正しく使い、コンセントを差しっぱなしにしないことが大切です。事業用電気工作物を設置している施設は、定期点検をするのはもちろんのこと、部品を定期的に交換し、メンテナンスに務めてください。