
電気工事士第一種・第二種の違いは? どちらを取得した方が有利?
2017/09/15
2021/04/07
電気工事士とは、文字どおり電気工事を行うことができる国家資格です。水道工事やガス工事と異なり、電気工事はこの資格を取得しなければ行えません。そのため、社会人にも人気があり、転職のために取得したいという人もたくさんいます。電気工事士には第一種と第二種があり、それぞれ行える工事が異なりますが、違いが分からないという人もいるでしょう。
そこで今回は、電気工事士の資格区分の違いについて解説します。
この記事を読めば、電気工事士を取得するコツなどもよく分かるでしょう。電気工事士の資格取得を目指している人は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.電気工事士の基礎知識
はじめに、電気工事士にできることや資格区分について解説します。取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
1-1.電気工事士とはどのような資格?
前述の通り、電気工事士とは電気工事を行うことができる国家資格です。電気工事とは、たとえば、コンセントの修理や増設・建物内への配線工事・電気配線の修理など電気に関する工事です。
電気工事を行うには、必ず電気工事士の資格を取得しなければなりません。ガスや水道工事のように有資格者の監督下でも、無資格者が電気工事を行うことはできませんので、有資格者は常に一定の需要があります。建築業界・ビルメン業界など、電気工事士の有資格者を欲している業界も豊富です。
1-2.資格区分
電気工事士には、以下の資格区分があります。
- 第一種:第⼆種が行える電気工事・最大電力500kW未満の自家用電気工作物の電気工事を行える
- 第⼆種:600V以下で受電する設備の電気工事を行える
また、電気工事士の資格を取得して実務経験を積めば、非常用予備発電装置の電気工事を行える認定電気工事従事者や、ネオンサインなどの工事を行える特種電気工事資格者の資格も、認定講習を受講することで取得可能です。
1-3.資格を取得するメリット
前述の通り、電気工事士は電気工事を行う職場で必要とされます。資格を取得すれば、就職の幅もぐっと広がり、転職にも有利です。また、資格を活用して独立開業することもできるでしょう。また、電気工事士の資格を取得した後、電気主任技術者など別の資格にチャレンジすることで、さらに仕事の幅が広がります。
2.電気工事士の資格区分について
この項では、第一種と第二種の違いについて解説します。どのような違いがあるのでしょうか?
2-1.工事ができる範囲の違い
前項でご説明した通り、第一種と第二種では電気工事のできる範囲が異なります。第二種が行える工事は、一般住宅や小規模な店舗の電気工事が中心です。より仕事の幅を広げたければ、第一種を取得しましょう。
2-2.求人数の違い
電気工事士の有資格者を求めている職場はたくさんありますが、その多くが第一種の有資格者を欲しています。第二種だけでも大丈夫という職場もありますが、やはり少ないでしょう。給与も、第一種のほうが高い傾向にあります。
2-3.取得方法の違い
電気工事士の資格を取得するには、電気技術者試験センターが主催する試験を受けて合格する必要があります。第一種・第二種共に受験資格は定められていません。また、第二種は経済産業省が認定校に指定した専門学校や大学・職業訓練校・工業高校などで所定の単位を取って申請を行えば、取得できます。そのため、工業高校・工業大学の電気科を卒業すれば、第二種電気工事士の資格は取得可能です。
一方、第一種は試験に合格することが、唯一の取得方法になります。その上、5年以上の実務経験(大学・短大・専門学校・高校で電気に関する単位を取得していれば3年)がなければ、試験に合格しても免状が交付されません。ですから、無資格・無経験から試験を受ける場合は、第二種から挑戦するのが一般的です。
ちなみに、第一種の試験に一度合格すれば、免状の交付資格を失効することはありません。ですから、第二種・第一種と続けて試験に合格し、第二種の資格を活用して実務経験を積んでから、第一種の免状を都道府県知事に申請し、交付してもらうこともできます。
2-4.試験の難易度や合格率の違い
電気工事士の合格率は第一種が40%前後、第二種が30%前後と第一種のほうが高くなっています。これは、第一種を受ける人の多くが第二種の資格をすでに取得しており、実務経験を積んでいるためです。ですから、難易度は第一種のほうが高いのですが、合格率も高くなっています。
3.電気工事士の資格取得方法
この項では、電気工事士の資格取得方法について解説します。ぜひ、参考にしてください。
3-1.試験概要
電気工事士の資格試験は、
- 学科試験:電気工事や電気に関する法令・配線図などの択一式問題(120分)
- 技能試験:配線図を元に工具を使って電気工作物を作成する(40分)
この2科目です。第一種と第二種で違いはありません。学科試験に合格してから、技能試験を受験するスタイルです。なお、学科試験に合格した場合は、翌年に限り学科試験が免除されます。また、電気主任技術者の資格を取得している場合も学科試験は免除です。
3-2.試験の申し込み方
電気工事士の試験を申し込むには、電気技術者試験センターのホームページからの電子申請が便利です。電気工事士の試験は、第一種が年に1度、第⼆種が年に2度実施されています。しかし、第⼆種でも受験できるのは年に1度だけですので、注意しましょう。試験は毎年6月と10月に実施されます。詳しい日程と共に確認しておきましょう。受験料は第一種が10,900円・第二種は9,300円です。試験は全国で行われますので、受験票が届いたら試験会場の確認を忘れないようにしましょう。
3-3.技能試験について
学科試験に合格し、技能試験を受ける場合は以下のような工具が必要です。
- ペンチ
- ドライバー(マイナス・プラス)
- ナイフ
- スケール
- ウォーターポンププライヤー
- リングスリーブ用圧着工具
試験会場で道具を借りることはできません。電気工事士として仕事をしていくうえでも必要な工具ですので、インターネットショップ等を利用し、セットで購入しましょう。なお、工具は必ず使い慣れておいてください。技能試験では、
- 配線図を作成する力
- 工事に必要な材料を判断する力
- 工事に必要な技術力
が問われます。
3-4.どんな問題が出るのか?
電気技術者試験センターのホームページで、過去問題の一部を見ることができます。一度目を通しておきましょう。学科は計算問題が出ますので、数学的なセンスも必要です。6割以上の得点で合格になります。過去問をくり返し解けば、合格に必要な力が身につくでしょう。
技能試験の場合は、事前に13題の候補問題が発表され、その中から出題されます。事前に問題を知ることができる分、採点基準は厳しく、2017年度よりミスが1個でもあったら不合格と、採点基準が変わりました。ミスをせずに電気工作物を完成させることができるかが、合否を分けるでしょう。
4.勉強のコツ
電気工事士は、幅広い年代に人気の資格です。第一種・第二種共にたくさんの参考書や過去問題集が販売されているため、独学の教材に困ることはありません。人気が高いのは、ツールボックス社から刊行されている、「すい~っと合格シリーズ」などです。独学で合格する自信がないという人は、通信教材を利用してみましょう。特に、技能試験は市販の参考書を見ただけではよく分からないことも多いので、丁寧な造りの通信教材のほうがおすすめです。
5.電気工事士に関するよくある質問
Q.電気工事士の資格はいきなり第一種を取得することはできないのでしょうか?
A.いきなり第一種を受験することはできますが、試験に合格しても免状が交付されません。ですから、試験に合格しても電気工事士として働けないのです。
Q.電気工事士の資格は、18歳未満でも取得できますか?
A.はい。取得可能です。ただし、18歳未満で取得しても就職が難しいため、未成年者が取得したい場合は高校在学中に取得し、資格を活用して就職するとよいでしょう。
Q.第二種電気工事士の資格を取得できる学校に通っている場合は、3年後に第一種を受ければ大丈夫ですか?
A.はい。それ以外に、学校在学中に第一種の試験に合格し、実務経験を積んでから免状交付を受けても大丈夫です。
Q.電気工事士の試験に、科目合格などはありますか?
A.いいえ。ありません。ただし、学科試験に合格して技能試験に不合格になった場合は、1年に限って学科試験が免除になるという特典はあります。
Q.電気工事士の資格は、第一種と第二種を同じ年に受験することは可能ですか?
A.はい。可能です。ただし、第一種の免状は交付されないので注意しましょう。
おわりに
今回は電気工事士の資格区分について解説しました。無資格・無経験から取得を目指す場合は、まず第二種から取得を目指しましょう。難易度もそれほど高くありませんのでしっかり勉強すれば取得できます。