
電線の種類について解説! 用途別にどんな電線があるの?
2018/09/07
2019/02/22
電線とは、電力や電気信号を送る金属やグラスファイバー製の線の総称です。電線にはたくさんの種類があり、用途によって的確に使い分けることが必要になります。電気関係の資格を取得する場合、電線の種類をしっかりと把握しておくことが大切です。
そこで今回は、電線の種類について解説しましょう。
この記事を読めば、電線の種類がよく分かります。電気関係の資格を取得したいと考えている人は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.電線の基礎知識
はじめに、電線の用途や目的について解説します。
1-1.電線とは何か?
前述したように、電線とは電力や電気信号を伝える金属線やグラスファイバーの総称です。かつては、金属線だけを「電線」と呼んでいましたが、現在はグラスファイバー製のものも含めて「電線」と呼ぶようになりました。
1-2.電線の役割
電線には、大きくわけて2つの役割があります。1つは電力の送電、もう1つが映像・画像・音声などの送信です。また、同じ電力の送電でも、電圧や用途によって使う電線がすべて異なります。
1-3.ケーブルと電線の違いは?
ケーブルは電線と同じように電力や映像・音声・画像を送信するものです。電線が金属やグラスファイバーの導体に絶縁体を巻きつけた作りなのに対し、ケーブルは絶縁体の上からさらに保護外被覆(ほごがいひふく:シース)を巻きつけたものになります。つまり、ケーブルの方がより安全性が高いものです。そのため、屋内の配線ではケーブルが使われることが多いでしょう。ケーブルも用途によって細かい種類があります。
1-4.電気工事と電線
電気工事を行う場合、設計の段階で用途や使用場所に応じた電線やケーブルを選んでおく必要があります。そのため、電気工事や電気設備の管理・点検を行える資格を取得する際には、電線・ケーブルの用途や種類を理解しておくことが大切です。資格試験でも、電線やケーブルの種類や用途が問われる問題が出てくることが珍しくありません。
2.電線の種類について
この項では、電線の種類をもう少し詳しく解説します。
2-1.電線の種類
電線には、大きく分けて電力用電線と通信用電線の2種類があります。電力用電線は電気を通し、通信用電線は音・映像・画像などを送るものです。電力用電線は金属性がほとんどなのに対し、通信用電線はグラスファイバー製のものもあります。
2-2.電力用電線の種類
電力用電線には以下のような種類があります。
- 送電線:発電所から、電力を消費する場所の配電所(配電盤)まで電力を運ぶ線。電圧によって太さが異なる。一般的に「電線」というと、この送電線を指すことが多い。
- 配電線:配電所や配電盤から電気を使うところまで、電力を送電する線。屋内に配線をどのように走らせるかという図面を、配線経路と言う。
2-3.送電線・配電線の種類
送電線や配電線に用いられる電線の一例を紹介します。
2-3-1.送電線の種類
送電線には、架空送電線や地中送電ケーブルなどがあります。架空送電線は、電柱や鉄塔に張られている線なので、誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。地中送電ケーブルは、主に都市部に使われています。おおよそ、500~1,000kVの電圧で電力を送電することが可能です。
2-3-2.配電線の種類
配電線には、ポリエチレンケーブル・ユニットケーブルなどがあり、用途によって使い分けられています。導体を絶縁体で覆っただけの電線より、絶縁体をさらにポリエチレンなどで覆ったケーブルが用いられることが多いでしょう。
2-3-3.その他
電線は、機械内に用いられることもあります。発電機・変圧器の中の電線、電気エネルギーを機械エネルギーに変える巻き線などがあるのです。
2-4.通信用電線の種類
通信用電線には、以下のようなのものがあります。
2-4-1.電話用ケーブル
主に音声を伝える通信用電線です。市内線路用・市外線路用・構内配線・加入者配線用などの種類があります。比較的近い距離を結ぶ電話用ケーブルにはがPEF-LAP用いられるのが一般的です。また、長距離用通信には光ファイバーケーブルが用いられます。
2-4-2.同軸ケーブル
テレビとアンテナの接続などに使われるケーブルです。テレビ受信用ケーブルのほか、CATV用同軸ケーブル・漏えい同軸ケーブルなどがあります。
2-4-3.光ファイバーケーブル
大量の映像や音声などを送ることができ、落雷や漏電の影響を受けないケーブルです。通信や都市型ケーブルテレビ、監視カメラ・インターネット回線など幅広い分野で使われています。なお、海底に通す海底光ファイバーケーブル、地中や架空に通す陸上光ファイバーケーブルなどの種類があるのです。
3.電線の種類に関するよくある質問
この項では、電線の種類に関するよくある質問を紹介します。
Q.本来ならばケーブルを使うところを、電線で代替えすることは可能ですか?
A.たとえば、緊急用に用いることはできますが、経費削減などの理由で恒久的に使うために代替えはしない方がいいでしょう。
Q.電線やケーブルはすべての種類を覚えておく必要があるのですか?
A.製品名まで細かく覚えておく必要はありませんが、大まかな種類と用途は覚えておきましょう。
Q.配電線を使って工事をするには、どんな資格が必要ですか?
A.電気工事士になります。有資格者のみ工事をすることが可能です。
Q.配線図は、どのような資格があれば作ることができますか?
A.電気工事士や電気工事施工管理技士の資格があれば作ることが可能です。
Q.電気主任技術者の試験でも電線に関する問題が出ますか?
A.もちろんです。出題されます。
まとめ
今回は、電線の種類や用途について説明しました。電線は現在も進化を続けています。これからも、新素材を使い、より高電圧の電流や大容量の情報をやり取りできる電線が開発され続けるでしょう。ですから、電気工事や電気設備の点検などの仕事をする場合、勉強を続けて新しい電線の特徴や使用するメリットなどを把握しておくことが大切です。そうすれば、技術の進歩についていくことができるでしょう。