風力発電の仕組みと特徴を知りたい人必見! 地球に優しい理由は?

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電験3種の資格取得に向けて勉強中の方なら、風力発電の特徴や仕組みについて知りたいと思うでしょう。風の力からどのようにして電気が生まれるのか、その発電量はどのくらいなのかなど、風力発電の基本についてご紹介したいと思います。

「風力発電の発電量やコストについて知りたい」「メリットとデメリットにはどのようなものがあるのか?」「低周波による問題点についてはどのように考えられているのか?」そんな疑問を解決して、風力発電についてもっとよく知りましょう。

  1. 風力発電の特徴と仕組み
  2. 風力発電のメリット・デメリット
  3. 風力発電の発電量と効率

1.風力発電の特徴と仕組み

1-1.風から電気を起こす

風力発電では、風力発電機を使って発電しています。風力発電機の上部には「ブレード」と呼ばれる羽根が付いており、この部分に風が当たると回転するのです。その回転が「ナセル」という装置の中に伝わります。ナセルの中で回転速度を速め、その回転を発電機で電気に変換しているのです。発電された電気を変圧器で昇圧し、送電線を通って届けられます。

風力発電機の高さは、高いもので100メーター以上あります。通常の建物と比べてとても大きいものです。風を受ける位置が高いほど、上空で吹いている強い風を受けることができます。

1-2.風力発電機の設置場所

風力発電の発電量は、風に左右されます。つまり、よく風が吹く場所に風力発電機が設置されるのです。風力発電機の設置場所については、年間を通した風の状況を考慮する必要があります。なぜなら、同じ場所でも「夏場はほとんど風が吹かない」など、季節によって変化があるためです。日本における風力発電所は、北海道や東北、九州に多く、海沿いや山の上などに設置されています。

1-3.世界から見る日本の風力発電

風力発電は世界的に導入普及が進んでいます。近年は従来の陸上風力発電だけでなく、洋上に風車を設置する洋上風力発電が急成長しているのです。洋上風力発電には「風の状況がよく、風の乱れが小さい」などのメリットがあり、欧米を中心に急速な導入普及が進められています。長い海岸線や広域な海域などは我が国の特徴であり、今後の洋上風力発電が有望視されているのが現状です。

2.風力発電のメリット・デメリット

2-1.メリット

太陽光発電と並んで「環境に優しい」と言われている風力発電。環境に優しいだけでなく、事故が起こりにくく、リスクの少ない発電方法として注目を集め続けています。「風」という自然の力を利用する風力発電には、さまざまなメリットがあるのです。

  • 再生可能エネルギーを利用しているため、燃料の輸入が必要ないなど外部からの影響を受けにくい
  • 冷却水を必要としない
  • 風が吹けば24時間発電できる
  • 地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出しない
  • 酸性雨や光化学スモッグなど、大気汚染の原因となる酸化物を排出しない
  • 陸地だけでなく海上に風車を設置することもできる

また、ほかにも「発電コストが低い」「工期が短い」というメリットがあります。風力発電は新エネルギーの中で最もコストが安く、1 kWh当たりで比較してみると太陽光発電の4分の1程度という数字もでています。つまり、同じ価格なら約4倍のエネルギーを得ることができるということになるでしょう。

そして、工期の問題。原子力発電所の工期は、一般的なもので約4年かかります。一方、風力発電所の工期は短く、1年半程度で済むのです。このように、風力発電には多くのメリットが存在しています。

2-2.デメリット

メリットを見て分かるように、風力発電は自然への影響が少ないのが特徴です。しかし、肝心の発電量については問題点として挙げられることになるでしょう。風の強弱を調整することができないため、安定性には欠けてしまいます。

また、台風のように風が強すぎると、耐久性の問題も発生してしまうでしょう。風力発電のデメリットは以下の通りです。

  • 発電量に風速が影響する
  • 落雷による故障のリスクがある
  • 地震で発電停止することが多い
  • ブレード部分に鳥が巻き込まれてしまうことがある
  • 風車から低周波音や機械音が発生し、近隣に騒音問題を起こすことがある

もちろん、風力発電所を設置するには「平らな場所」が必要になります。平地の少ない日本では山間部での建設も多くなっており、風力発電設備の大量設置は難しいものがあるのです。日本は国の面積自体が小さいため、設置台数も限られてしまうでしょう。

また、高い場所に設置するとメンテナンスが大変になってしまうというデメリットもあります。

2-3.推進派と反対派の意見

以上のメリットとデメリットを理由に、風力発電所の設置には推進派と反対派の意見があります。自然の力である「風」を使い、地球環境に優しい再生可能エネルギーです。しかし、課題の1つに「設置場所」が挙げられます。人が住んでいる場所の近くに発電機を設置した場合、騒音や低周波振動が原因で、人々への健康被害が発生する可能性があるのです。

3.風力発電の発電量と効率

3-1.風力発電の発電量

どんな場所でも、風は吹いたり吹かなかったりするものです。強さも千差万別なため、風力発電機が発電できる量には限りがあるでしょう。発電設備の定格出力に対する年間を通じた発電量の割合を「設備利用率」と言います。

この割合を23%としたときの発電量は、例えば、1500kWの発電設備1基当たり年間約300万kWhになります。一般家庭およそ800世帯分が利用する年間使用電力を賄うことができるのです。

3-2.変換効率が高い

風力発電機の風車は、風力の40程度%をエネルギーに変えることができます。エネルギーの変換効率としては非常に高いと言えるでしょう。一般的な太陽光発電で普及しているパネルは、変換効率15%程度です。変換効率が高いと言うことは、自然エネルギーを少ないロスで「生活に役立つエネルギー」に換えることができる、と言うことなのです。

まとめ

風力発電の仕組みや特徴を知り、メリットとデメリットについても理解することが大切です。日本における風力発電の状況がどうなっているのかをしっかりと勉強し、電験3種の資格取得を目指してください。