変圧器の原理や構造はどうなっている? 種類とともに紹介!

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変圧器とは、電圧を変えるための装置です。海外旅行に行く際に小型の変圧器を持っていったという方もいるでしょう。変圧器は、私たちの生活のいたるところで使われています。

そこで今回は、変圧器の原理と構造についてご説明しましょう。特に、電気主任技術者の資格取得を目指している方は、変圧器についての知識が必須です。一口に変圧器といってもいろいろな種類があります。ですから、知識がこんがらがらないように、系統立てて覚えておきましょう。ぜひこの記事も参考にしてくださいね。

  1. 変圧器とは?
  2. 変圧器の構造は?
  3. 変圧器の種類は?
  4. 変圧器は意外とデリケート?

1.変圧器とは?

変圧器とは、電圧を変える機器です。皆様がご存じのように電気は発電所でつくられて、電線を通って最終的に各家庭に到着します。しかし、発電所で発電されたばかりの電気は非常に高い電圧です。高電圧の電気はそのまま使うことはできません。ですから、変圧器を使って100Vにまで下げて各家庭へ配られるのです。

電化製品の中にも変圧器は入っています。前述したように、各家庭に配られている電気は100Vですが、電化製品の中には100V以外の電圧で動くものも少なくありません。そこで、変圧器を使って電圧を調整しているのです。

ちなみに、変圧器で電圧が変えられるのは「交流」だけです。ですから、工場から家庭まで交流を使っているところが多いのです。また、現在は「変圧器」ではなく、トランスとも呼ばれています。変圧器によって電圧を上げることを昇圧、逆に電圧を下げることを降圧というのです。覚えておきましょう。

電圧を変える機器が変圧器なんですね。
発電所で発電されたばかりの電気は高圧のため、変圧器を使って100Vにまで下げて各家庭へ配られるのです。

2.変圧器の構造は?

変圧器の基本的な構造は、鉄心(コア)に一次コイルと二次コイルを巻きつけた、とてもシンプルなものです。一次コイルに電流が流れれば、二次コイルにも電圧が発生します。これは、時間とともに変化する交流電流がコイル流れることにより、時間とともに変化する磁束が鉄心に発生するからです。

ちなみにこの現象のことを「電磁誘導作用」といいます。学校の物理の授業で習った方もいるでしょう。トランスにはそれぞれ容量が決まっています。トランスの選定は一般的に入力電圧・出力電圧・出力電流の値から選定するのです。

単相交流を入出力とする単相変圧器の場合は、出力電圧(V)×出力電流(A)=容量(V・A)となります。三相交流を入出力とする三相変圧器の場合は、√3×出力電圧(V)×出力電流(A)=容量(V・A)の計算式で、だいたいの容量を計算するのです。だいたいというのは、変圧器で電圧を変えると必ず損失が発生します。ですから入力電力の5%~10%ほど大きくなるのです。この容量の値は、変圧器につなぐケーブルの太さなどを決めるときの目安になるでしょう。

また、コイルの巻き方にも複巻と単巻の二種類があります。単巻は小型で安価ですが、一次側、二次側の絶縁ができません。複巻の方は、絶縁ができますが、単巻に比べてどうしても大型になってしまいます。ですから、変圧器の大きさや用途によってコイルの巻き方も変わってくるのです。

鉄心に一次コイルと二次コイルを巻きつけた構造をしているんですね。
また、コイルの巻き方には複巻と単巻の二種類あり、変圧器の大きさや用途によってコイルの巻き方が変わるのです。

3.変圧器の種類は?

変圧器の種類を一番大まかに分けると、単相変圧器と三相変圧器の二種類になります。
しかし、このほかにももっと細かく種類分けができるのです。この項では、変圧器の種類の一例をご説明しましょう。

3-1.単相変圧器と三相変圧器の違い

前述したように、交流電源には単相と三相があります。三相とは、電圧や電流の位相を互いにずらした3系統の単相を組み合わせた交流です。世界で最も普及した送電方法で、同じ電圧で送電した場合、単相や二相よりも電線の使用量が少なくて済むというメリットがあります。ですから、単相交流のところに三相変圧器は使えませんし、その逆も同様です。

3-2.相変換変圧器とは?

相変換変圧器とは、三相交流から単相交流に変換できる変圧器です。電気鉄道の交流電車への電力供給や、三相交流が供給されている場所で単相電気炉や単相電動機を動かすのに使います。

少し専門的になりますが、三相交流から単相交流に変換する変圧器として有名なものに、スコットトランスがあります。電験2種の試験では希に出題されています。このような場所は意外と多いので、電気主任技術者になると目にする機会も増えるでしょう。

3-3.単巻変圧器

巻線の一部を一次と二次側で共通にするタイプの変圧器です。オートトランス、またはオートトランスフォーマーともいいます。共通部分を「分路巻線(ぶんろまきせん)」、それ以外の部分を「直列巻線(ちょくれつまきせん)」というのです。長距離配電線の電圧降下補償などに使われています。

3-4.磁気漏れ変圧器

磁気漏れ変圧器とは、一次と二次のコイルを別の区間に離して巻き、漏れ磁束のための磁気回路を設けた変圧器です。あえて漏れ磁束を作ることで、負荷電流が増えても漏れの効果で電圧が低下して常に電流が一定に保たれます。そのため、別名「定電流変圧器」ともいうのです。

漏れインダクタンス(漏れインピーダンスの)値が大きいトランスといえます。この磁気漏れ変圧器は、蛍光灯や電子レンジの中にも使われていますので、最も私たちの生活に身近な変圧器ともいえるでしょう。

3-5.共振変圧器

共振変圧器は、磁気漏れ変圧器の一種です。二次コイルに並列に共振コンデンサーを接続し、共振を起こさせるという特徴があります。変圧比が一定せず、負荷によって変動するのです。蛍光灯インバーターなどに使われています。

変圧器には二種類あるんですね。
はい。大まかに分類すると単相変圧器と三相変圧器の二種類になります。相変換変圧器や共振変圧器など、さらに細かく種類分けることもできます。

4.変圧器は意外とデリケート?

さて、ここまでお読みいただければお分かりいただけると思いますが、変圧器は鉄などの金属からできており、大変頑丈そうに思えます。実際、大型の変圧器はカバーがかけられていますが、屋外に置かれていることも多いのです。しかし、変圧器は意外とデリケートです。

特に、気温の変化や衝撃には弱いでしょう。ですから、急に気温が下がったり上がったりしたときは、万が一に備えて必ず点検をしてください。また、急に気温が寒くなることが多い場所では、凍結防止の対策をしておくとよいでしょう。さらに、変圧器を運ぶときは緩衝材(かんしょうざい)を巻き、落とさないように気をつけてください。

変圧器によっては車の振動でも調子が悪くなるものがあります。ですから、長距離を運んだ後の変圧器も、入念にチェックをしてから電源を入れましょう。それが事故を防止するためのポイントです。

また、しばらく使っていなかった変圧器を動かすときも同様にチェックをしてください。

変圧器は気温の変化や衝撃には弱いんですね。
そうなんです。ですから、気温の高低が激しいときや、車などで長距離を運んだ後は、万が一に備えて必ず点検するようにしましょう。

おわりに

今回は、変圧器の構造や原理についてご説明しました。変圧器というと、屋外にある大型なものをイメージする方も多いでしょう。しかし、実際は蛍光灯の中につけられるような小型なものもあるのです。

さらに、変圧器が故障すれば電圧の変換ができずに、高圧、もしくは低圧の電流がそのまま電化製品の中に流れてしまいます。そうなると、故障したり最悪の場合は火事になったりするでしょう。ですから、変圧器の点検は電気主任技術者の大切な業務の一つです。前述したように、変圧器は見た目とは裏腹にとてもデリケートな機器になります。暑い夏や寒い冬などは故障が増えるかもしれません。

また、新しく変圧器を付け換えるという場合は、不備がないかどうか入念にチェックしてから運転をしてください。交換した古い変圧器はすぐに廃棄せず、新しいものが正常に動作することを確認してからにしましょう。大型な変圧器ほど壊れた場合被害が大きくなります。変圧器の調子が悪いときは停電をするなどして、電気機器の使用を一旦止めて点検をしましょう。