碍子の仕組みと種類:効率的な電気伝送を実現する秘密

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日常生活に欠かせない電力を支える碍子には、どのような仕組みがあるのでしょうか?

碍子は、電力線に取り付けられた陶磁器製の器具であり、電力の伝送に欠かせない役割を担っています。種類や材質によって異なる特性を持ち、伝送する電力に合わせて使い分けられます。

碍子の仕組みについては、通常は電力線に流れる電流によって生じる電磁場によって、電線が揺れたり、振動したりすることがあります。この振動が続くと、電線の強度に影響を与えることがあるため、碍子はその振動を抑えるために使用されます。

種類や材質については、例えば、高い絶縁性能を持つ陶磁器が一般的であり、中にはアルミニウム製のものも存在します。また、最近では、環境に配慮した素材や省エネ技術が取り入れられた碍子も開発されています。

本記事では、碍子の仕組みや種類・材質、製造方法について詳しく解説します。

また、碍子がどのように電力伝送に寄与するかについても説明します。効率的な電力伝送を実現するためには、碍子について深く理解することが必要です。

  1. 碍子の仕組み
  2. 碍子の種類
  3. 碍子の材質・製造方法

1.碍子の仕組み

効率的に電気を通すためには碍子が必要不可欠です。よく田んぼの中に設置している鉄塔を思い出してみてください。鉄塔と電線の間に丸い物体が並んでいると思います。渦巻き状になっているのが「碍子」です。それでは、碍子の仕組みについて説明しましょう。

1‐1.電流が鉄塔・地表へ流れるのを防ぐ

私たちが当たり前のように使っている電力は発電所で生み出しています。発電所から家庭に送るには、何本もの電線を通らなければなりません。電力を送るために必要な電線を支えているのが、鉄塔や電柱になります。電柱・鉄塔を支えにして電線はつながっているものです。しかし、直接つながるとせっかく生み出した電気が地表や鉄塔に流れてしまいます。家庭に行き渡る前に電流を失ってしまうのです。

そこで、大きく活躍するのが「碍子」になります。鉄塔と電線の間に碍子を取りつけることで電気を地表・鉄塔へ流れないようにしているのです。また、電気を電線・鉄塔の間に通さないことを「絶縁」と呼びます。絶縁することによって次の電線に電気が流れるのです。

1‐2.碍子の特徴

碍子にはさまざまな種類があります。国によって使用している種類は異なりますが、日本においては主に鉄道電気工作物として利用しているようです。碍子は電柱・鉄塔と電線の間に取りつけます。基本的に、いくつもの碍子を重ねる形になるでしょう。碍子を1つだけ設置するわけではありません。なぜなら、1つだけでは十分に絶縁できないからです。絶縁性を確保するにはいくつかの碍子が必要になります。およそ数十個が1つの列に連なるでしょう。

雷が落ちたときは非常に高い電圧がかかるので大電流が発生します。その結果、碍子が壊れる恐れもあるでしょう。碍子の破壊を防ぐため、両端には「アークホーン(アークリング)」を取りつけています。もし、大電流が発生したときはアークホーン両端に電気を流すことによって、碍子を保護しています。

1‐3.高い絶縁力・大きな強度が大切

碍子を取りつけている場所は常に雨風、日射、温度変化の影響を受けています。自然劣化しやすいので工夫が必要です。劣化が少ない陶器製を採用していますが、大切なのは「高い絶縁力」と「大きな強度」になります。電線の重量や電線を張る力に耐えるものでなければなりません。

大容量の電力を送電する“超高圧送電線”では、いくつもの碍子が並んでいます。碍子を1列に並べたとしても強度が足りない場合は2~3連に増やして並列にするのです。直列に連結するほど、高電圧に対応できます。

硝子は優秀な絶縁体なんですね。
はい。そのため、超高圧電線などでも絶縁体に使われています。

2.碍子の種類

2‐1.よく見る「懸垂碍子(けんすいがいし)」

「碍子」にはさまざまな種類があります。よく見るのは「懸垂碍子(けんすいがいし)」と言われるタイプです。懸垂碍子は“笠(かさ)”に似た形で裏側がヒダになっています。表面にほこりや塩、汚れがついてしまうと電気が碍子の表面を流れて絶縁が悪くなるので、きちんとヒダを作り電気が伝わらないようにしているのです。懸垂碍子は磁器でできていますが、上下にある連結用金具はセメントで接着されています。1個から数十個を連結したりするなど、電圧によって並べ方を変えているのでしょう。

2‐2.さまざまな種類の碍子

懸垂碍子(けんすいがいし)のほかにもさまざまな種類の碍子があります。金属棒の上部に傘状の絶縁体磁器がついているのは「ピン碍子」です。ピン碍子は、絶縁体の上縁(じょうえん)部にある“溝”が特徴になります。電線を保持するため、溝にはバインド線というひもを巻いているでしょう。主に電信用として19世紀後半から採用しました。懸垂碍子(けんすいがいし)と同じく、ヒダがついているのは「ラインポスト碍子」です。

ラインポスト碍子は、円柱状になっている片方の絶縁体に電線支持用の電線クランプがついています。もう片方には、固定用金具を取りつけているのです。円柱状になっている絶縁体の両端にフランジがある「ステーションポスト碍子」、「直流用碍子(ちょくりゅうようがいし)」などさまざまな種類がたくさんあります。

硝子にはいろいろな種類があるんですね。
はい。絶縁体に使われるのは懸垂碍子と呼ばれるものが多いのです。

3.碍子の材質・製造方法

3‐1.碍子の材質は主に三種類

碍子に使用している素材は、主に全部で三つあります。「磁器」「ガラス」「合成樹脂」です。それぞれ素材によって使用用途や特徴が異なるので確認しましょう。懸垂碍子(けんすいがいし)にも採用している「磁器」は、絶縁力と強度の両方とも優れているタイプです。よって、多くの場所で使用している材質になるでしょう。

磁器と言っても、長石質磁器や石英・ムライトが主成分になっている種類が多いです。本ではクリストバライトと呼ぶ成分がたくさん入っています。耐熱や衝撃に優れている「ガラス」は、強度が低いです。大型製品の製造が難しいため、強度を維持するには強化ガラスにする処理をします。「合成樹脂」は、軽量で衝撃に強いので小型化できるタイプです。

3‐2.碍子の製造方法は?

日本では陶器製の碍子を多く使用しています。陶器製の碍子を作るときは、原料として長石・珪石(けいいし)・粘土・陶石などが一般的です。中でも天草陶石を利用すれば高い強度が維持できると言われています。

場合によっては高い性能を持つ碍子を作らなければなりません。高い性能の碍子を作る際は“酸化アルミニウム”を追加するでしょう。原料となる成分をすべて粉砕して粉末状にします。粉末状にしたところで水を加え泥状にするのです。専用の形に泥を流して碍子を形成します。十分に水分を蒸発した後、釉薬(ゆうやく)を塗っておよそ1,300℃~1,350℃で焼きあげて完了です。また、ガラスや合成樹脂の場合は製造方法が異なるでしょう。

硝子には複数の材質や製造方法があるんですね。
はい。絶縁体として用いるのに適した配合のものを選びましょう。

まとめ

碍子の仕組みや種類、材質・製造方法について説明しました。碍子は電柱・鉄塔と電線の間についているものです。地表や鉄塔に電気が流れていかないようにする役割を持っています。つまり、絶縁するには必要不可欠な存在になるでしょう。碍子がなければ、せっかく作った電気を家庭に送ることができません。

基本的に電気が流れているところには「電磁波」が存在しています。絶縁する碍子があっても、電磁波は防げません。電磁波への影響が心配な人は、電磁波対策グッズを利用するといいでしょう。完全にカットできるとは限りませんが、電磁波のリスクを減らすことができます。さまざまな種類があるのでぜひチェックしてみてください。