【解説】直流送電と交流送電の特徴やメリット・デメリット、違いについて

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電気を効果的に送る方法は多岐にわたります。送電方式によって異なる特徴があり、電力量や環境条件に応じて最適な選択をする必要があります。

そこで、直流送電と交流送電のそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説していきましょう。さらに、電気の基本的な仕組みについても確認していきます。

特に、電気主任技術者試験を受験予定の方には、必須の知識となるので、ぜひ参考にしてください。

  1. 直流送電の特徴とメリット・デメリット
  2. 交流送電の特徴とメリット・デメリット
  3. 直流送電と交流送電の違い

1.直流送電の特徴とメリット・デメリット

送電方法の一つである直流送電は省略してDCと呼びます。詳しい特徴やメリット・デメリットについて説明していきましょう。直流送電は電気主任技術者試験にも出てくるので要チェックです。

1‐1.直流送電の特徴と用途

直流送電とは、名前のとおり電気を直流で送る方式になります。直流高電圧による送電方式なので、ケーブルや長距離送電に適しているでしょう。よって、大容量長距離架空送電や系統短絡電流の抑制などに使用します。日本では、海底ケーブルや異周波数の連系に役立てているのです。

また、直流送電は交流電力を直流に変換して送電する仕組みになっています。送電端から遮断器→変圧器→交直変換器→直流リアクトル→直流線路の順で流れていくでしょう。そして、再び直流リアクトル→交直変換器→変圧器→受電端という流れで進みます。

1‐2.直流送電のメリット

直流送電のメリットはたくさんあります。たとえば、「絶縁が簡単」なところです。実効値の同じ交流電圧よりも最大電圧が小さいため、絶縁が簡単に出来るようになっています。よって、絶縁設計においては大変有利になるでしょう。

また、「表皮効果がない」こともメリットの一つです。表皮効果とは、銅線に電流を流したとき周波数の上昇によって、線の表面にしか流れない現象を指しています。電力損失を防ぐためには表皮効果対策を徹底することが大切です。しかし、直流送電には表皮効果がもともとないため、対策を立てなくても良いでしょう。ほかにも、誘導抵抗である「リアクタンスの影響がない」「静電容量の影響がない」といったメリットがあります。交流の電力系統を自由に分離できるため、潮流調整も簡単になるでしょう。

1‐3.直流送電のデメリット

直流送電にはたくさんのメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。送電方式のデメリットを把握しなければ直流送電と交流送電の違いがわからないので、必ず確認してください。

直流送電のデメリットと言えば、「電流の遮断が難しい」ことです。電流の開閉が難しくなると、遮断するための細工が必要になります。直流送電は零点がありません。よって、大容量の遮断器では零点を作らなければならないのです。ほかで蓄えたエネルギーを逆電流として入れる、または、自励振動の電流を重ねる方法で零点をつくることになるでしょう。そして、もう一つのデメリットとしては、「交直変換の設備」が必要になります。交直変換の際に起きる高調波対策が大切です。以上のデメリットはきちんと把握してください。

「絶縁が簡単」というメリットがあるんですね。
ほかにも「表皮効果がない」「静電容量の影響がない」などたくさんのメリットがありますが、「電流の遮断が難しい」というデメリットがあります。

2.交流送電の特徴とメリット・デメリット

2‐1.交流送電の特徴と用途

直流送電とセットになる送電方式が「交流送電」です。交流送電には三つの単相交流を組み合わせた交流、“三相交流”が大きなポイントになります。簡単に仕組みを説明すると、三相交流を変圧器などの専用機器で電圧を変換しています。そして、変換した電力を送る仕組みです。基本的に、三相交流を使わない送電方法は交流送電と言いません。

交流送電は主に、電圧の変換に必要な変圧器と力率調整装置や電線路・制御装置で構成されています。以上の特徴をふまえたうえで、多くの電力会社は交流送電を採用しているのです。

2‐2.交流送電のメリット・デメリット

交流送電のメリットは主に三つあります。まず一つ目は「初期投資が安い」点です。直流送電に比べると交流変換設備が必要ないため、費用が非常に安くなります。二つ目のメリットは「いざというときの遮断が簡単」な点です。事故が起きたとき、電力の供給をカットしなければなりません。交流送電は直流よりも簡単に遮断できる特徴を持っています。そして、最後の三つ目は「電圧の変換ができる」点です。交流送電では変圧器を使用するため、簡単に電圧の変換ができます。

しかし、交流送電はメリットだけではありません。「絶縁の強化」を必要とするデメリットがあります。交流送電は非常に最大電圧が大きいです。よって、絶縁の強化は必要不可欠になります。ほかにも、電流が大きいことで「電力損失・電圧降下」や「長距離の送電では初期投資が高くなる」「交流ループによって潮流調整が難しい」こともデメリットです。「フェランチ効果による障害が発生しやすい」などもあがっています。

初期投資が安くて遮断が簡単なのはいいですね。
また、電圧の変換ができる点もメリットです。「絶縁の強化」「電力損失・電圧降下」といったデメリットがあることは理解しておきましょう。

3.直流送電と交流送電の違い

3‐1.それぞれの発電方法が異なる

直流・交流送電それぞれの特徴やメリット・デメリットを確認してきました。一般家庭のコンセントはほとんどが交流送電です。そのため、直流に変換する際、電力ロスが大きく発生します。

直流と交流の主な違いは“発電方法”です。基本的に、直流送電では「固定した磁石でコイル(電機子)を回転する」方式を採っています。コイルの軸受け部分をしっかり調整・点検しておけば回転の摩擦を抑えることができるのです。よって、コスト削減や簡単なメンテナンスを実現できる特徴があります。

一方、交流送電は「固定したコイル(電機子)で磁石を回転する」方式です。直流送電とはまったく逆の発電方法になります。つまり、メンテナンスが必要でコストが高く、スリップリングやブラシ部分のお手入れ、交換をこまめにしなければなりません。

3‐2.直流・交流送電の今後

電力送電において大切なのは、電力ロスをできるだけ減らすことです。電力産業が活性化していた19世紀後半は、直流にするのか交流にするのか論争が起きていました。当時、変圧器を使って簡単に電力の昇圧・降圧ができる交流電圧に注目が集まりました。世界中に採用が広まったのも交流電圧が先です。

しかし、近年では直流電圧の方が注目され始めています。なぜなら、直流送電の場合は送電線が2本で済むからです。長距離送電においては直流送電が適しています。なんと、欧米などでは50万V、75万Vほどの長距離直流送電が実現化しているのです。しかし、直流送電にも交流→直流、直流→交流へ変換する設備が必要になります。以上の点から今後は、変換する設備の対策や工夫がポイントになるでしょう。

直流送電と交流送電とでは発電方法が違うんですね。
直流送電は固定した磁石でコイル(電機子)を回転しますが、交流送電は固定したコイル(電機子)で磁石を回転するので逆の発電方法となります。

まとめ

直流送電と交流送電の特徴やメリット・デメリット、違いについて説明しました。送電方法の二つの方式は、まったく異なる原理でできています。日本の電力会社はほとんどが交流送電です。交流送電は三相交流を使用しているかどうかが大切なポイントになります。一方、直流送電は交直交換の設備が必要です。それぞれの特徴やメリット・デメリットをふまえたうえで、電気主任技術者の試験勉強を続けてください。

また、メリット・デメリットだけでなく今後の見通しや課題もチェックしておくと良いでしょう。理解が深まれば深まるほど、勉強も楽しくなりますよ。自分にとって毎日続けやすい勉強方法を選択して試験に臨んでくださいね。