地熱発電の特徴や仕組みを理解しよう!メリット・デメリットについて

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発電にはさまざまな方法があります。一般的になっているのが、石油・石炭などの火力発電、原子力発電になるでしょう。しかし、デメリットのほうが大きいため天然ガスや水力・再生可能エネルギーへの注目度が高まってきています。

そこで、再生可能エネルギーの一つである「地熱発電」について説明しましょう。地熱発電の特徴や仕組み、メリット・デメリット、発電量や効率・コストなどを詳しく見ていきたいと思います。地熱発電について知りたい人はぜひ参考にしてください。

  1. 地熱発電の特徴・仕組み
  2. 地熱発電のメリット・デメリット
  3. 地熱発電の発電量や効率

1.地熱発電の特徴・仕組み

再生可能エネルギーは自然エネルギーを活用する仕組みになります。自然エネルギーを利用しているため、地球にやさしくエコになる点が特徴的です。最近注目度が高くなりつつある“地熱発電”の特徴や仕組みについて説明しましょう。

1‐1.地中深くに存在している“蒸気(熱)”を利用する

地熱発電の仕組みはとてもシンプルです。地中深くに存在している蒸気・熱を利用して発電する仕組みになります。地球は大きな熱を宿しているのをご存じでしたか? 地球の表面では太陽からの熱しか感じないでしょう。しかし、地球の中心に近づくにつれ温度が上がっているのです。地球の中心には「核」が存在しています。核に近ければ近いほど、温度は非常に高くなるでしょう。

一般的に、深さがおよそ30km~50kmで1,000度の熱が加わると言われています。地球にある地熱を上手に利用していけば、資源の限界が近づいている火力発電に頼らずに済むでしょう。現在でも、地熱発電の効率化に向けてさまざまな研究をしています。

1‐2.水蒸気によって“タービン”をまわす

地熱発電の詳しい仕組みは、熱から発生する“水蒸気”と水蒸気の力によって回る“タービン”が必要不可欠です。タービンは地熱から出てきた水蒸気の力で回ることができます。タービンが回れば回るほど、発電できる仕組みになっているのです。地球の奥深くにある熱を取り出すことはできませんが、日本は火山活動が活発な国の一つになります。
活発な火山活動を生かして蒸気を利用しているのです。

火山が連なっている東北地方や九州地方では、地熱発電所がたくさんあります。日本と同じく火山活動が活発的なアメリカのハワイでも、地熱発電が非常に盛んです。

1‐3.純国産エネルギー資源の一つ

現在、日本は発電に必要なエネルギー資源のほとんどを海外から輸入しています。日本国内では十分に発電できる資源がありません。よって、発電に困らないほどの純国産エネルギー資源を確保することが今後の課題になっています。貴重な純国産エネルギーの一つになっているのが“地熱”です。地球の深くにある熱を利用するため、資源に限りがありません。水力発電と同じく、日本にとってはかけがえのない純国産エネルギーと言ってもいいでしょう。

現在において、水力発電が純国産エネルギーの実績を占めていますが、地熱発電も上手に活用すれば、実績が出てくると期待しています。今まで頼ってきた原子力発電の問題もあるため、さらに注目度があがってきているのです。

地熱発電は、地熱を用いて蒸気を作りだし、タービンを回す発電方法なんですね。
はい。日本は火山が多いので、地熱が利用できる場所はたくさんあります。

2.地熱発電のメリット・デメリット

2‐1.地熱発電のメリット

発電方法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。地熱発電の大きなメリットは、何と言っても“環境にやさしい点”です。再生可能エネルギーの一つで化石燃料を必要としません。石炭・石油など化石燃料を使用した火力発電は二酸化炭素が発生します。

実際、化石燃料による二酸化炭素でオゾン層は破壊し続けているのです。オゾン層だけでなく、森林や河川などの汚染も問題になっています。しかし、地熱発電は二酸化炭素の排出量が非常に少ないです。熱の蒸気を利用しているため、地球にやさしい発電方法になります。

さらに、資源の少ない日本においては貴重な純国産エネルギーであること、四季や気候の影響を受けないこともメリットの一つです。

2‐2.地熱発電のデメリット

一見、メリットしかないように見えますが「地熱発電」にはデメリットや課題があります。主なデメリットとしては、“コストパフォーマンスの悪さ”です。定期的に一定の発電量を確保するには、整備や設備がいまだ整っていません。

また、地中深くの熱を利用するため、温泉や温泉地への影響・景観への影響を心配している声もあがっています。地熱発電の候補地は、ほとんどが温泉地です。よって、地熱発電所を設置するには温泉地への影響を考えなければなりません。最近では、温泉組合との共同事業を行っている発電所も増えています。

さらに、国や自治体からの支援・援助にも乏しいのが現状です。地熱発電自体の知名度が低く、日本には普及していないので支援してくれる人や団体が少ない傾向があります。水力発電に続いての貴重な純国産エネルギーにも関わらず、なかなか前へ進展しないのが現状です。

地熱発電を火力や原子力発電と同じように利用するには、まだ課題が多いんですね。
はい。しかし、技術の進歩により問題が解決する日が来る可能性はあります。

3.地熱発電の発電量や効率

3‐1.日本全体のおよそ0.2%

気になる地熱発電の発電量は、全体のおよそ0.2%しかありません。現在、日本の発電量を占めているのは、火力発電です。2012年では液化天然ガスのLNGが42.5%、火力発電と合わせると全体のおよそ8割を占めていました。

年々、原子力発電の発電量が増えていましたが、東日本大震災の件もあって今は割合が少なくなっています。再生可能エネルギーでの発電である水力発電でも全体のおよそ7.5%にすぎず、地熱発電はさらに低い0.2%しかありません。

非常に発電量が少ないので、効率を向上していかなければならないでしょう。将来、発電量が安定できるかどうかに日本における発電力はかかっています。地熱発電はほかの自然エネルギーよりも、費用対効果が非常に高いです。設置にかかるコストは高くつきますが、安定すれば満足いく供給が可能になるでしょう。

3‐2.低いエネルギー効率が課題に

地熱発電の課題はたくさんあります。中でも、特に大きい課題が「低いエネルギー効率」の向上になるでしょう。現時点におけるエネルギー効率は、およそ15~20%です。蒸気量と発電量を比較したうえでの熱効率なので、とても低い数値になります。発電量よりおよそ4倍以上もの熱が地上に放出しているのです。地上に放出する熱を発電するために冷やす必要があります。

冷却するには“冷却塔”を設置しなければなりません。地熱発電所のほとんどは山中にあるため、冷却塔しか方法がないのです。よって、エネルギー効率が悪くなってしまいます。エネルギー効率を向上するための研究を続けていますが、いまだ解決策は見つかっていません。いくつかある課題点を解決していかなければ、安定した発電量は確保できないでしょう。

地熱発電は、まだ発電量も少なく効率も良くないんですね。
はい。しかし、技術の進歩のためにも発電は続けられていくでしょう。

まとめ

地熱発電の特徴や仕組み、メリット・デメリット、発電量や効率について説明しました。資源のない日本にとって水力発電に次ぐ「地熱発電」は、純国産エネルギーの一つです。貴重な純国産エネルギーを確保して安定した供給ができれば、発電量も増えるでしょう。「地熱発電」は地中の奥深くにある熱から出た蒸気を利用しています。二酸化炭素の排出が少なく、地球にやさしい発電方法です。しかし、「地熱発電」には、課題点もたくさん出ています。課題をクリアできるかどうかで、今後の発電量も変わってくるでしょう。地熱発電を理解するには、仕組みや特徴をしっかり踏まえてくださいね。