電験の機械科目は難易度が高い? 合格するための勉強法とポイント

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電験とは、電気主任技術者試験の略称で、電気工作物の工事・維持・運用に必要な国家資格を取得するための試験です。電気主任技術者は第1種・第2種・第3種の3種類があり、試験科目と出題範囲が異なります。試験科目の中には、電気機器・電熱・照明・電気加工などが含まれる「機械科目」があるのです。機械科目をマスターするためには、電気機械の構造をきちんと把握しておかなければなりません。

そこで本記事では、電験の機械科目について説明します。

  1. 電験の機械科目とはどんなものか
  2. 電験の機械科目の重要な点
  3. 電験の機械の勉強法
  4. 電験の機械科目に関してよくある質問

この記事を読むことで、電験の機械科目の勉強法とポイントが分かります。資格取得を目指している方は、ぜひチェックしてください。


1.電験の機械科目とはどんなものか

まずは、電験の機械科目がどのような内容なのか、チェックしておきましょう。

1-1.どんな科目か

まず、電験は資格種類によって異なります。第1種と第2種は一次試験と二次試験が行われますが、第3種は一次試験のみです。そして、電験の機械科目は、第1種・第2種の一次試験と、第3種の試験に出題される科目となります。主に、電気機器・パワーエレクトロニクス・電動機応用・照明・電熱・電気化学・電気加工・自動制御などが含まれるのです。

機械科目以外にも、理論・電力・法規の3科目がありますが、中でも最も難しいといわれているのが機械で、その理由としては、学習する内容の多くが専門性が高いからでしょう。専門用語や、機械の仕組みが記されている複雑な図解など、理解に時間がかかる科目となります。

1-2.資格種類別に紹介

電験の試験内容は、資格種類で異なる点があります。第1種・第2種は一次試験(マークシート方式)と二次試験(記述方式)に分かれ、出題範囲も試験によって変わるので注意が必要です。どの試験にも機械科目が含まれていますが、資格で出題範囲が異なります。以下に、資格種類ごとの出題範囲をピックアップしたので、ぜひ参考にしてください。

第1種・第2種の一次試験、第3種

  • 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクスならびに電力システムに関する情報伝送および処理

第1種・第2種の二次試験

  • 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御およびメカトロニクス

1-3.どんな問題が出るのか

機械科目の問題は、機械の分野別に分けることができます。発電機(回転機)と電動機・変圧器(静止機)・電動機応用・パワーエレクトロニクス・照明・電熱・電気化学・自動制御と制御理論・論理回路とデジタル回路です。けれども、実際には、出題のおよそ半分が発電機・電動機・変圧器の電気機器の問題となります。そのため、電気機器の仕組みや構造を把握することが、大切なポイントといえるでしょう。

1-4.出題傾向について

近年の出題傾向を見てみると、電動機など電気機器の構造・特徴、太陽光発電等の問題が出題されています。過去問と似た問題が出題されることもありましたが、平成29年度の電験三種では、出題頻度の低いアルゴリズムの問題も出題されました。

1-5.難易度、合格点

前述したとおり、電験の機械科目は出題科目の中でも、専門性の高さから難しいといわれています。「機械を制する者は電験を制する」といわれるほどです。そのため、試験の経験がある方は、機械の勉強に最も力を入れ、勉強時間を多く充てる傾向があります。合格難易度は高めですが、合格点である「55点」をクリアすれば問題ありません。科目によって毎年合格点が調整され、基準点が下がることもあります。自己採点で微妙な点があれば、試験結果発表時に確認するとよいでしょう。

2.電験の機械科目の重要な点

それでは、機械科目についてもっと掘り下げていきましょう。重要な点と合格するために知っておきたいことを説明します。

2-1.重要な点とは

機械科目の問題は、約半分が電気機器と説明しました。そのため、発電機・電動機・変圧器という電気機器の構造と仕組みを理解することが大切なポイントです。基本的な仕組みを理解しておけば、ある程度の問題が分かるようになります。特に、同期機・誘導機・直流機などは公式が多いので、暗記することも大切です。公式を利用する計算問題は、機械科目の約6割となります。オームの法則・三角関数・ベクトル・複素数などの知識も必要となるため、公式を暗記して計算にも慣れておかなければなりません。

2-2.合格するために知っておきたいこと

合格するために知っておきたいことが2つあります。1つ目は、出題範囲が極めて広いことです。電気機器の種類の構造を理解するだけでなく、それぞれ関連する部分も把握しておかなければなりません。出題範囲が広いということは覚えるべき事項も多いため、時間をたっぷりかけて勉強に取り組むことが必要です。

2つ目は、文章問題の難しさでしょう。文章問題は公式の暗記だけで解ける内容が少なく、どこでどんな公式を使うのかを理解しておかなければなりません。過去問を何度かくり返し解き、応用力をつける必要があります。

また、実際に機械を分解する機会がないため、図と文章だけで理解するしかありません。それでは、なかなか理解できないところがあるでしょう。しかし、きちんと理解せずに中途半端な状態で試験に挑むと、合格できません。図と文章で理解できるように、自分にとって分かりやすい勉強を地道に続けることが大切です。

3.電験の機械の勉強法

勉強方法は人それぞれです。ポイントとコツを押さえて、自分に合った方法で電験の機械科目の勉強を始めましょう。

3-1.勉強のすすめ方

どこから手をつけたらいいのか分からない場合は、電機機器の構造・仕組みを理解するところから始めましょう。特に、発電機・電動機・変圧器の出題が多いので、これらの仕組みをマスターしてください。仕組みと構造を理解すると同時に、公式を用いた計算問題にも取り組みましょう。同時にすすめることで、解き方のコツをつかむことができます。
それから、電動機応用・照明・電熱・電気化学の勉強に取り組んでください。これらの分野は専門性が高くないので、学習しやすい傾向があります。基本的な内容を理解したら、過去問を解いて計算問題に慣れていきましょう。4分野のうち、2分野を確実に得点できるようになれば合格に近づきます。

3-2.おすすめの勉強法

主な勉強法として、独学・スクール通学・通信講座の3つがあります。初めて電験を受ける方は、独学でないほうがよいでしょう。機械科目のように難易度の高い科目があるため、きちんと説明してくれる先生が居たほうが学びやすくなります。ただし、スクール通学はお金がかかり、仕事が忙しくなると通えなくなるのが難点です。

3-3.テキスト・参考書選びについて

本屋に行くと、さまざまなテキスト・参考書があり、どれを選ぶべきか悩みますよね。ポイントは、自分にとって分かりやすい内容かどうかです。また、電験の重要ポイントが記載されているのかもチェックしてください。テキスト・参考書の中には、重要ポイントが記載されていないものもあります。

また、テキスト・参考書は、1冊だけを使いましょう。1冊を何度も読み返したほうが、試験のポイントを押さえ暗記しやすくなります。

3-4.ポイント・コツについて

電気機器の仕組みと構造をきちんと理解していなければ、ほとんどの問題が分からなくなります。そのため、仕組みと構造について勉強したら、自分がどれほど理解しているのか構造をできるだけ詳しく紙に書いてみてください。実際に書くことで、理解しているつもりでもできていない箇所が分かるでしょう。この流れをくり返すことで、より深く仕組みと構造を知ることができます。

そして、過去問を何度も解いてください。近年の出題傾向は、過去問の類似問題が出題されています。よって、過去問をくり返し解くことで、十分な受験対策になるでしょう。さらに、どの問題に苦手意識を持っているのか分かるはずです。

3-5.過去問

本屋で過去問は購入できますが、試験を主催する「一般財団法人 電機技術者試験センター」のホームページでも無料ダウンロードが可能です。機械科目の問題と解答もダウンロードできるので、ぜひ利用してください。何度やっても解けない問題があれば、しっかりチェックしておきましょう。

3-6.注意点

電験は、一夜漬けの勉強で合格できる試験ではありません。機械科目は出題範囲が幅広く、理解するまで時間がかかります。休日にまとめて勉強する方法もありますが、毎日30分でも地道に勉強を続けてください。毎日コツコツと勉強したほうが、公式の暗記がしやすく、頭の中に重要ポイントがインプットできるでしょう。また、勉強スケジュールを立てたほうが勉強が続けやすくなるのでおすすめです。

4.電験の機械科目に関してよくある質問

電験の機械科目に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.機械科目の中でも専門性の高い分野は?
A.パワーエレクトロニクス・自動制御と制御理論・論理回路とデジタル回路の3分野です。学校で電子を専門にしていた方は理解できますが、触れたことのない方は理解しがたいでしょう。先に、専門性の高い分野から取り組むと、ほかの分野に手がまわらなくなってしまいます。そのため、ほかの分野の知識を深めるところから始めてくださいね。

Q.問題を解くときのポイントは?
A.過去問に取り組むときは、常に図を書き、公式を導き出して解くとよいでしょう。最初は、図の記入・公式の導き出しで時間がかかるかもしれません。しかし、10問程度解けば、公式が理解できるようになるでしょう。構造をつかみ、動作原理を読み込み、公式の導出を理解すればOKです。

Q.どのくらい前から勉強を始めるべきか?
A.学校で機械科目を十分に勉強されてきた人であれば、試験の1か月前から勉強を始めて合格するかもしれません。しかし、むかし勉強したことを忘れてしまっている方や初めて受ける方は、半年~3か月前から勉強を始めたほうがよいでしょう。また、毎日仕事で忙しく、勉強時間がないという方は、長い間かけて勉強すべきです。

Q.勉強スケジュールを立てる際のポイントが知りたい。
A.ライフスタイルを見直してみてください。仕事で忙しい方は、疲れた後に勉強する気力が起きない可能性があります。そのため、朝の時間に勉強する、移動時間を勉強に充てるなど、どこで自分が勉強できるのかを考えてスケジュールを立てましょう。また、できるなら、いつまでにこの分野を理解する、試験の1か月前から過去問を解き始めるなど、細かく計画を立てることもポイントです。

Q.計算問題が苦手な場合の勉強法が知りたい。
A.計算問題に慣れていなくて苦手意識を持っている方は、中学生レベルの数学問題集を1冊購入して解いてください。「中学生レベルを解いても意味ない」と思いがちですが、意外と解けないものです。中学生の次は、高校生レベルの数学問題を解きましょう。電気数学の参考書を購入して勉強すると、公式の種類と利用方法が理解できるようになります。ある程度、理解できたら電験の計算問題に取り組んでくださいね。

まとめ

電験の機械科目は、出題科目の中でも難しいといわれています。出題範囲が幅広く、電気機器の構造と仕組みをきちんと理解していなければ問題が解けません。また、公式を使って計算問題を解く必要があります。電験を受ける前に、試験のポイントとコツを押さえて、地道に勉強を続けてください。そうすれば、機械科目の合格基準点に到達できるでしょう。さまざまな勉強法がありますが、仕事が忙しい方は「通信講座」がおすすめですよ。ライフスタイルに合った勉強法を選んでくださいね。