工場で電験の資格を活用した仕事を解説! 資格取得で行える仕事とは?

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電気主任技術者(以下、電験)は事業用電気工作物の保安監督を行うことができる国家資格です。有資格者を求めている職場は数多く、工場からの求人もたくさんあります。「電験の資格を活用して工場に就職したいので、どのような仕事をするのか知りたい」という人もいるでしょう。

そこで今回は、電験を活用して工場で働く場合の仕事内容を中心に、電験を取得する方法などを紹介します。

  1. 工場で電験に求められる役割や仕事内容
  2. 工場ならではの電験の仕事
  3. 電験と電気工事士の違い
  4. 電験資格の取得方法
  5. 電験に関するよくある質問

この記事を読めば、電験を取得するメリットなども分かります。電験取得を目指している人も、ぜひ読んでみてくださいね。


1.工場で電験に求められる役割や仕事内容

はじめに、電験の有資格者が工場で行うことができる仕事や求められる役割を紹介します。

1-1.工場の電気設備は定期的な自主点検が必要

工場の電気設備は事業用電気工作物のうち、自家用電気工作物に分類されます。自家用電気工作物は、電気事業法により定期的な自主点検が義務づけられているのです。自主点検の保安監督を行うには、電験の資格が必要になります。

1-2.電験の有資格者は電気工作物の自主点検の計画を立てて実行する

自主点検の名のとおり、電気工作物の点検の頻度や時期はそれぞれの施設に法律の範囲内で任されています。ですから、電験の有資格者が点検の計画を立て、計画書を各自治体にある産業保安監督部に保安規定として届け出なければなりません。また、電験の有資格者を新たに選任したり、選任した人が交代したりした場合も届け出は必要です。

1-3.電験の有資格者は電気設備の安全に責任を負う

電験の有資格者は、工場の電気設備の安全に責任を負います。もし、電気設備に関係する事故が起こった場合、原因を調べたり再発を防止したりすることも重要な仕事です。

2.工場ならではの電験の仕事

この項では、工場ならではの仕事の特徴を紹介します。

2-1.工場では機械を止めないで仕事が行えるよう努力する

工場によっては、24時間機械を止めずに稼働しているところもあります。このような場合は、電気設備の自主点検も機械を止めずに行うでしょう。また、故障が見つかってもよほどのことがない限り、機械を止めずに修理を行うことが一般的です。機械を止めずに点検や修理を行い続けられるように保安を行うのも電験の仕事になります。

2-2.自主点検は夜に行うこともある

24時間稼働していない工場でも昼間は製造のために、電気設備を稼働させています。そのため、自主点検は夜間や終業前の早朝に行われる工場も多いでしょう。電験の有資格者を含む電気設備の保安を行う部署だけが夜勤ありといった勤務体制のところもあります。

2-3.電験の求人は規模の大きな工場が中心

小規模な工場の場合、自家用電気工作物の保安を外部に委託することが多いでしょう。自社で電験の有資格者を雇用する工場は、法律上電気工作物の保安を委託できない大規模な工場などです。工場によっては電気工事士などとも一緒に仕事を行い、電気設備の保安だけでなくメンテナンスも仕事になることもあります。

3.電験と電気工事士の違い

電験が電気工作物の保安業務ができるのに対し、電気工事士は電気工事を行うことができる資格です。たとえば、電気工作物を点検した結果修理が必要になった場合、電験の資格だけでは行えません。電気工事士の資格が必要です。一方、電気工事士の資格だけではいくら電気工作物の点検を行っても、「自主点検をした」とは認められません。小規模な工場の場合は、電気工事士を電気工作物の修理や整備をする要員として雇い、自主点検は外部業者に委託していることもあるでしょう。もちろん、両方の資格を取得していれば、それに越したことはありません。

4.電験資格の取得方法

この項では、電気主任技術者の資格取得方法を紹介します。

4-1.電験の資格は試験を受けて取得する方法が一般的

電験の資格は電気技術者試験センターが主催する資格試験を受験し、合格する方法と、実務経験を積んで経済産業省から認定を受ける方法があります。しかし、認定は基準が厳しいので利用する人は限られているため試験を受けて合格を目指す人が大半です。なお、講習などでは資格取得はできません。受験資格は定められていませんが、初めて受験する場合は二次試験がない電験3種に挑戦するのがおすすめです。

4-2.試験は学科試験だけ

電験には、1~3種までの資格区分があります。3種は理論・電力・機械・法規の4科目の学科試験に合格すれば取得可能です。なお、この4科目の試験は科目合格が認められています。6割以上の得点で科目合格となり、3年以内に4科目すべて科目合格できれば免状の申請ができます。

2種と1種は、一次試験に合格したあと、電力・管理と機械・制御の2科目の二次試験があります。こちらは、科目合格がありません。また、論述問題も出題されるので、より難易度が高くなっています。一次試験も二次試験も計算問題が多く出題されるので、電気に関する公式を自由自在に使いこなせなければ合格は難しいでしょう。

4-3.試験は9月上旬に行われる

電気主任技術者の試験は、毎年9月上旬に行われます。第1種と第2種が同日、第3種が翌日に行われることが多いでしょう。詳しい日程は電気技術者試験センターのサイトを確認してください。平成31年度の試験日程は4月の後半ごろに発表されます。また、サイトからは試験の申し込みを電子申請で行えるので便利です。試験費用は、第3種が4,850円、第1種・第2種が12,400円となっています。

5.電験に関するよくある質問

この項では、電験に関する質問を紹介します。

Q.電験の有資格者は工場以外にも求人は豊富ですか?
A.はい。自家用電気工作物を設置してある施設や点検を請け負う会社から常に一定の求人があります。

Q.工場の求人は何名くらいあるでしょうか?
A.だいたい1つの求人につき1~2名です。

Q.電験は1種や2種を取得しないと資格を活用して仕事はできませんか?
A.いいえ。3種だけでも十分活用可能です。

Q.電験と電気工事士は一度に取得することはできますか?
A.試験日が離れているので可能ですが、かなり大変なので無理をしないようにしましょう。

Q.電験の勉強は暗記が中心ですか?
A.いいえ。試験は計算問題が数多く出されるので、数学の勉強をするつもりで行いましょう。

まとめ

今回は工場における電験が担う仕事内容や役割を中心に解説しました。ここまで読んでいただけたら、電験の資格を取得すれば仕事の幅が広がり、転職などにも有利だとお分かりいただけたと思います。機会があればぜひ電験の資格取得にチャレンジしましょう。