エアコンの取り付け工事に資格は必要? 素人が工事をしても大丈夫?

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エアコンは、冷暖房の両機能を持つ便利な家電です。気密性の高い新しい住宅ほど、なくてはならないものでしょう。エアコンはほかの家電に比べると取り付けに手間がかかります。そのため、業者に依頼するのが一般的でした。しかし、現在はネット通販の充実などにより、「自分でエアコンを取り付けたい」という方も増えています。

そこで、今回はエアコンの取り付け工事を行う際に必要な資格や、自分で取り付け工事を行う場合の注意点などを解説しましょう。

  1. エアコンの基礎知識
  2. エアコンの取り付けは資格なしでも行えるの?
  3. 電気工事士の資格が必要な作業とは?
  4. 電気工事士の資格取得方法
  5. エアコンの取り付け工事に対するよくある質問

この記事を読めば、エアコンの仕組みから安全に取り付け工事をするために必要な資格まで、よく分かりますよ。電気工事の仕事に関心がある方も、ぜひ読んでみてくださいね。


1.エアコンの基礎知識

はじめに、エアコンの仕組みや取り付け方について解説します。なぜ、設置に手間がかかるのでしょうか?

1-1.エアコンの仕組み

エアコンは、部屋の空気を室内機に取りこんで熱交換機を通して熱だけを室外機から屋外へ放出し、冷えた空気を再び屋内に戻すことで、部屋を涼しくします。室内機・室外機・2つをつなぐパイプの3つからなりたっており、設置するためには室内機と室外機を設置するだけでなく、配管やアース、ホースの接続など多数の作業が必要です。また、エアコンは一般的に壁へ取り付けるので、他の家電を設置するよりも技術も必要になります。

1-2.エアコンを取りつける手順

エアコンを取りつける手順は、以下のようになります。

  • 室外機の取り付け
  • 室内機と室外機をつなぐ接続線や冷媒配管の設置
  • アースの設置
  • ドレインホースの接続
  • 真空引き(エアコンのパイプ内から空気を抜く作業)
  • 室内機の設置

ただ、コンセントを挿しておしまいというわけではありません。

1-3.エアコンの設置は何工事?

エアコンの設置工事は、厳密な分類では配管工事になります。ですから、ガス工事の会社や水道工事の会社がエアコンの取り付けを行っているところもあるのです。しかし、電気工事が全く不要というわけでもありません。エアコンの種類や設置する場所によっては電気工事が必要なところもあります。

2.エアコンの取り付けは資格なしでも行えるの?

以下のような作業は、無資格でも行うことができます。

  • 室外機・室内機の設置
  • 化粧カバーの設置(電線の目隠し、保護目的のカバー設置は含まない)
  • アース線の取り付けやコンセントの差し込み
  • 真空引き(エアコンのパイプ内から空気を抜く作業)

現在の住宅はエアコンを設置することを前提に家づくりをしているので、配管を通す穴などが事前にあいていますし、室外機を設置するスペースなども取ってあるでしょう。そのような家でエアコンを設置する場合は、DIYでも可能です。設置方法を解説しているサイトや動画もありますので、参考にしてもいいでしょう。
ただし、エアコンを設置するための作業には、技術が必要です。また、エアコンの室外機・室内機は30キロ程度の重量があります。女性や高齢者の場合は技術はあっても重いものの上げ下ろしは無理、という場合がありますので注意しましょう。
また、真空引きという作業は「真空ポンプ」という専用の道具が必要です。真空ポンプを使わないと空気中にフロンガスを流出させてしまいます。真空ポンプはネットでレンタルも可能ですが、手間がかかることを覚えておきましょう。

3.電気工事士の資格が必要な作業とは?

以下のような作業は、電気工事士の資格が必要です。

  • 内外接続線を直接壁などに固定したり防護装置を取り付けたりする作業
  • 600Vを超えて使用するエアコンの設置作業
  • アース接地極に接続する作業や地面に埋める作業
  • コンセントの増設や移設
  • 内外接続電線同士の接続など

ちなみに、600Vを超えて使用するエアコンとは業務用のものです。たとえば、個人で店を経営していて店舗で使う大型のエアコンを自分で設置したい場合は、電気工事士の資格が必要になるものもあるでしょう。また、古い家屋などはエアコンが設置するような設計がされていません。そのため、エアコンを設置するために電気工事が必要になる可能性があります。
ですから、

  • 築40年以上の家屋にエアコンを設置する場合
  • エアコンを設置するように設計されていない場所にエアコンを設置する場合
  • 特殊な工事が必要なエアコンを設置する場合
  • 大型のエアコンを設置する場合

などは、無理にDIYを行わず業者に依頼した方が良いでしょう。

4.電気工事士の資格取得方法

電気工事を行うには、電気工事士という資格が必要です。この項では、電気工事士の有資格者ができることや資格取得方法を解説しましょう。

4-1.電気工事士とはどのような資格?

電気工事士とは、電気の配線工事などを行うことのできる資格です。コンセントの移設や増設・アンペアの増減など工事の種類はたくさんあります。基本的に、家電を設置する以外の電気にかかわる工事を行うには資格が必要と考えましょう。
電気工事には一種と二種があり、二種は、600V以下で受電する設備の工事を行うことができます。一般住宅や小規模な店舗の電気工事に限って行うなら、二種の資格で十分です。一種は、二種が行える電気工事に加えて最大電力500kw以内の工場・ビルなどの電気工事を行うことができます。電気工事を仕事としたい場合は、一種の取得を目標にしましょう。

4-2.電気工事士の資格を取得する方法

電気工事士の資格は、基本的に一種も二種も電気技術者試験センターが主催する試験に合格し、各都道府県知事に免許の交付を申請することによって取得します。ただし、二種の場合は専門学校や大学・職業訓練校など経済産業省が認定した学校を所定の単位を収めて卒業しても取得可能です。また、一種は5年間(電気関係の大学や短大・専門学校を卒業した場合は3年間)の実務経験がなければ、免許は交付されません。ですから、全く無資格無経験の方が免許を取得したい場合は、まず第二種を取得して実務経験を積み、第一種を取得しましょう。
なお、試験を受けて合格していれば、いつ免許の申請を行ってもかまいません。そのため、試験に合格だけしておいて、実務経験を積んでから免許を申請する方もいます。

4-3.試験内容

電気工事士の試験は、一種・二種ともに学科試験と技能試験です。なお、受験資格は定められていないので誰でも受験することができます。電気主任技術者などの資格を取得していれば、学科試験が免除されますので電気技術者試験センターのホームページから詳細を確認しましょう。
学科試験は択一式の問題が出題され、6割以上得点できれば合格です。学科試験に合格すれば技能試験が受験できます。技能試験は、実際に工具と与えられた材料を使って電気工作物を作り上げる試験です。無経験の方には少々難しい試験のため、技能試験の合格率は二種の方が低くなっています。工具は自分で会場に持ちこまなければなりません。また、製図からやり始めなければ解けないので、設計の知識も問われます。
なお、技能試験に不合格だった場合は、1年に限って学科試験が免除されるので、翌年には必ず合格できるようにがんばりましょう。

4-4.試験日程や申し込み方法

電気工事士は一種が年に1度、二種が年に2度試験が実施されますが、受験できるのはどちらの種も年に一回だけです。2回受験することはできませんので、注意しましょう。試験は毎年6月と10月に学科試験が実施され、受験料は9,300円です。受験の申し込みは、電気技術者試験センターから電子申請も行えますので、利用してみましょう。郵送で受験申し込みをしたい場合は、センターや各電力会社の支部などで願書を配布しています。

5.エアコンの取り付け工事に対するよくある質問

Q.エアコンの取り付け工事に工具は必要ですか?
A.はい。必要になります。場合によっては特殊な器具が必要になるでしょう。

Q.全く家電の設置経験がないのですが、エアコンの取り付けはできますか?
A.難しいので、無理をしないようにしましょう。

Q.エアコンは1人で持ち上げられますか?
A.高機能のエアコンほど重量がありますので、複数人で設置しましょう。

Q.エアコンの取り付けだけ行ってくれる業者はありますか?
A.はい。ネットで検索すればすぐに見つかるでしょう。

Q.エアコンを自分で取り付けるデメリットはありますか?
A.設置方法が間違っていると故障の原因にもなりますし、寿命も短くなるでしょう。

おわりに

今回はエアコンの取り付けを自分で行う方法や必要な資格について解説しました。確かに、エアコンの取り付けは素人でも行えますが、他の家電の設置に比べると技術も必要です。動画やサイトを見ただけでは分からないことも多いでしょう。無理をせず、必要ならば業者に依頼しましょう。