電気主任技術者を外部委託するには? 要件と手続き方法まとめ

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電気主任技術者の外部委託についてご存じでしょうか? 電気関係の仕事に就く上で資格取得がすすめられる電気主任技術者。この資格を持っていると自分自身のスキルアップにもつながり、就職や転職にも大変有利になります。原則として、店舗や施設、工場、発電所など一定の電圧を使う事業所では、電気主任技術者の選任が必要です。しかし、すべての事業所で電気主任技術者を選任することは現実的ではないでしょう。

そこで、外部委託という方法があります。平成15年の法改正により、経済産業省 保安監督部に申請することで電気主任技術者を外部に委託することが可能となったのです。この記事では、電気主任技術者の外部委託について、その要件や方法などをまとめて解説します。

  1. 電気主任技術者の基礎知識
  2. 電気主任技術者の外部委託について
  3. 電気主任技術者を外部委託する方法
  4. 電気主任技術者の外部委託に関するよくある質問

この記事を読むことで、電気主任技術者の仕事や外部委託の方法などを知ることができます。資格取得を目指している人も、ぜひ参考にしてみてください。


1.電気主任技術者の基礎知識

まずは、電気主任技術者という資格について知りましょう。

1-1.電気主任技術者とは?

電気主任技術者は国家資格であり、事業用電気工作物の工事や維持、運用に関する保安を監督するのが主な役割です。第1種、第2種、第3種に分類され、取り扱うことができる電圧がそれぞれ異なります。最も広い範囲の電圧で管理ができるのが、第一種電気主任技術者です。試験の難易度が最も高くなりますが、取得しておくと幅広い分野で活躍することができます。

1-2.準拠する法律について

電気主任技術者としての仕事は、電気事業法という法律に準拠しています。この法律は電気工作物の保安を目的としており、電気主任技術者はこの法律に従って仕事をしなければならないのです。資格試験にも、この法律に関する問題が法規科目で出題されるため、しっかりと把握しておく必要があるでしょう。

1-3.点検と保守が主な職務

電気主任技術者の主な職務は、電気設備の点検と保守です。故障などの不具合が起きたときは修理も行うことになります。施設の規模が大きい場合は、電気主任技術者が常駐することになるでしょう。また、発電所や工場などで電気工事を行う際に、電気主任技術者が監督を務めることもあります。責任者としての役割を果たすことになるため、一定の知識や技術を取得していることが求められるのです。

1-4.なぜ必要なのか?

商業施設やオフィスビル、マンション、病院などには、さまざまな電気設備が設置されています。こういった設備が安全に作動するためには、定期的なメンテナンスが必要です。そして、故障が起きたときには速やかに修理や交換をしなければなりません。そのための仕事をするのが、電気主任技術者です。近年、電気設備の普及は高まってきています。そのため、電気主任技術者は必要不可欠な資格であり、幅広い分野で求められることになるのです。

2.電気主任技術者の外部委託について

では、電気主任技術者の外部委託についてご紹介します。

2-1.電気主任技術者の選任について

原則として、一般家庭以外の場所で電気を使う場合、電気主任技術者の選任が必要になります。特に、変電所や発電所などでは一般家庭と比較にならないほど高い電圧の電気を扱うため、火災などが発生しないように注意が必要です。

ただし、第1種・第2種・第3種では扱える電圧の大きさが異なります。電気主任技術者を選任する場合は、電圧の大きさを確認してから求人を出す必要があるのです。

2-2.外部委託とは?

電気主任技術者を自社で選任できない場合は、その業務を外部に委託することができます。委託先としては個人事業者または保安法人があり、経済産業省の承認を受けることが必要です。大きな工場であれば電気主任技術者を雇用しているところも多いでしょう。

しかし、個人事業主が電気主任技術者を雇用することは困難な場合も多く、この制度が用いられるようになったのです。この制度によって、委託された電気主任技術者が設置者の代わりに電気設備の保安管理業務を行うことができるようになりました。

2-3.外部委託のための条件

外部委託先となる電気管理技術者は、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 電気主任技術者の免状を所有していること
  • 資格の種類に応じて必要な実務経験を有していること
  • 必要な機械器具類を保有していること
  • 受託事業場の換算係数が33点未満であること
  • 受託事業場に2時間以内に到着可能であること
  • ほかに職業を有しないこと
  • 承認の取り消しから2年以上経過していること

3.電気主任技術者を外部委託する方法

電気主任技術者を外部委託するにはどうしたらよいのでしょうか。手続き方法や委託先について解説します。

3-1.手続き方法

外部委託をするためには「保安管理業務外部委託承認申請書」を経済産業大臣に提出する必要があります。経済産業省のホームページから申請様式をダウンロードしてください。承認されるまで2週間ほどかかるため、余裕を持って手続きをしましょう。正式に承認されれば、通知が届きます。紛失しても再発行されないため、しっかりと保管しておいてください。

3-2.どこへ委託するのか?

以前は、外部委託先として国が指定する法人または個人の電気主任技術者に限られていました。しかし、平成16年からこの制度が廃止され、電気保安法人の参入が可能になったのです。経済産業省のホームページから委託先の電気保安法人一覧を確認できますのでチェックしてみてください。

3-3.事後処置について

電気主任技術者の資格を持たない者や実務経験不足の者が業務に従事した場合、国は外部委託承認を取り消すことができることになっています。また、適切でない助言を行い、設置者に強要するようなことを行った場合なども、委託承認は取り消しになるため注意が必要です。

4.電気主任技術者の外部委託に関するよくある質問

「電気主任技術者の外部委託について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめてみました。

Q.電気主任技術者の資格を持っていると独立開業ができますか?
A.できます。電気保安業務を行う個人事業者を「電気管理技術者」と言い、電験3種資格では5年間の実務経験が必要です。独立開業をする前に、経済産業省の「保安管理業務外部委託承認」を得るための手続きをしてください。

Q.経済産業省の承認を得るためにはどのくらいかかりますか?
A.この承認を得るための審査は厳しく、半年ほどかかるのが一般的です。

Q.電気の保安管理ができる資格には、電気主任技術者以外に何がありますか?
A.電気工事士や電気工事施工管理技士、建設設備士などです。いずれも国家資格であり、試験に合格して免状を取得する必要があります。

Q.外部委託先として承認されるためには、どのくらいの実務経験が必要ですか?
A.取得している免状の種類によって異なります。第1種電気主任技術者は3年以上、第2種は4年以上、第3種は5年以上の実務経験が必要です。

まとめ

電気主任技術者の外部委託について、要件や手続き方法をまとめてご紹介しました。電気主任技術者の資格を持っていると活躍の場が広がり、将来は独立開業も可能です。外部委託に関する知識を得ることで、この資格をどのように活用するべきか考えてみましょう。資格取得に迷っている人も、この記事を参考にして電気主任技術者という資格について知ってください。