電験を取得して独立開業するメリットを紹介! 準備しておくことは?

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電気主任技術者を目指して電験の資格を取得しようとする人も多いでしょう。電気主任技術者は独立開業が可能な職種であり、企業の社員として働くよりメリットが大きいのです。しかし、もちろん電験の資格さえ取得すれば誰でも独立できるというわけではありません。いくつかの条件をクリアする必要はありますが、その第一歩と言える電験の資格取得について詳しく知っておきましょう。

受験資格や試験内容、合格率はどうなっているのか、そこから電気主任技術者として独立するためにはどうしたらよいのか、知識を集めておいてください。

この記事では、電験の勉強法や独立までの流れなどをまとめてご紹介しています。

  1. 電験と独立について
  2. 独立までの流れ
  3. 電験の資格と試験、勉強法について
  4. 電験の独立に関するよくある質問

この記事を読むことで、将来電気主任技術者として独立開業するための方法がわかります。就職や転職を検討している人もぜひ参考にしてみてください。


1.電験と独立について

まずは、電験と独立についてまとめてみました。電気主任技術者として独立することにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

1-1.電気主任技術者は独立できるのか?

電気主任技術者としての資格を持っていると、電気管理事務所を個人で開業することができます。電気設備のある場所で必ず必要となる電気主任技術者。その需要は非常に高く、就職や転職に大変有利になる資格です。将来のために電験の取得を目指している人も多いのではないでしょうか。そして、この資格を活用するために独立での開業を考える時期はきっとやってきます。そのときのために、独立のメリットやデメリットなどを知っておきましょう。

1-2.独立のメリット・デメリット

電気主任技術者として働くには、電気保安会社やビルメンテナンス会社に就職するほか、独立開業する方法もあります。電気設備の保守や点検を行う仕事は、会社に属していなくても行うことが可能なのです。たいていは電気保安会社と受注契約を結び、そこから仕事を回してもらう方法になるため「自分で仕事量を調節できる」というのが最大のメリットでしょう。

実際に、集中的に仕事を入れてあとはまとめて休むという働き方をしている人も少なくありません。また、収入も会社に属するより高くなる場合がほとんどです。ただし、ある程度の収入を得られるようになるためには、何年もかけて顧客を開拓する必要があります。もちろん社会補償もなくなるため、最初は不安に感じる人も多いでしょう。

1-3.どのくらいの人が独立しているのか?

電験の資格試験は難関と言われており、取得してからも開業するまでには実務経験が必要になるため、独立している人はそう多くはありません。その分、需要が高い仕事であるということは間違いないでしょう。電気主任技術者として独立するまでの道のりは長いものですが、そこまで辿(たど)りつくことができれば一生仕事に困ることはありません。将来の安定を夢見て、着実に電験取得を目指しましょう。

2.独立までの流れ

では、独立までの流れをまとめてご紹介します。独立の条件や方法、流れ、準備にはどのようなものがあるのでしょうか。

2-1.独立するための条件

電気主任技術者として独立開業するためには、一定の実務経験が必要です。電験3種・電験2種、電験1種があり、どの免状を取得しているかによって必要な実務経験は異なります。1種は3年、2種は4年、3種は5年の実務経験が必要です。そのため、電験1種の取得を持っていると、独立への道が最も短くなります。また、経産省より「保安管理業務外部委託承認」を得ていることも、独立の条件です。

2-2.経産省の許可を得るためには?

独立して電気主任技術者として働く場合、保安管理業務を外部委託することになります。そのためには経産省に申請を行う必要があるのです。実務経験を含めた資格要件を確認するための面接が行われ、実務に関する質問に答えることになります。この審査は非常に厳しく、クリアするために2~3回面接を受ける人も少なくないということです。

2-3.そのほか準備すること

経産省の許可を得る前に、外部委託として提携してくれる電気保安法人を探しましょう。外部委託先として個人を指名してくれるとことはなかなかありません。経産省の許可を得て独立開業が可能になったとしても、仕事がなければ意味はないでしょう。保安管理業務外部委託を取りまとめている企業などに登録して、効率的に提携先企業を探すことをおすすめします。

2-4.注意点

まったく未経験の状態から独立開業するまでは、最低でも5年以上の時間が必要になります。いくら「早く独立したい」と思っても、電験3種も取得していない状態から目指すのは非効率的と言えるでしょう。まずは難易度の低い3種の取得を目指し、そこから少しずつ夢に近づいていく方法がおすすめです。慌てずに計画をしっかりと立て、着実に進んでいってください。

3.電験の資格と試験、勉強法について

電験の資格試験を受ける人のために、試験概要や合格率、おすすめの勉強方法などをまとめてみました。

3-1.受験資格

電験の資格試験に受験資格はありません。誰でも受験することが可能です。工業高校や専門学校の電気学科などで取得が推奨されている資格ではありますが、そういった学校を卒業していることが条件になるということもありません。そのため、電験の受験者は毎回年齢層が幅広いです。1種・2種・3種のすべてに共通して受験資格が設けられていません。

3-2.試験概要

一般財団法人電気技術者試験センター」のホームページから申し込みが可能です。または、郵便局の払込取扱票で申し込むこともできます。受験申し込みにかかる手数料は免状の種類により異なりますので、必ずチェックしておいてください。郵便局よりもインターネットで申し込む方が安くなるためおすすめです。

試験は1年に1回だけになります。毎年9月の第一週に開催されていますが、年ごとに変わることもあるため、必ずホームページで確認しておきましょう。試験は各都道府県の主要都市で開催されています。主に大学や専門学校を貸し切って行われることが多いでしょう。どこが一番近い会場になるのか、事前に調べておくことをおすすめします。

3-3.試験内容

電験1種と2種は一次試験と二次試験があり、3種は一次試験だけです。一次試験は理論、電力、機械、法規の4科目があり、科目別合格制となっています。つまり、合格できなかった科目だけを翌年受験することも可能です。ただし、有効期限は三年間なので注意しましょう。二次試験は電力・管理と機械・制御の二科目があります。一次試験に合格していれば翌年度は一次試験が免除されるというしくみです。

3-4.受験者数と合格率

電験の資格試験は受験資格の制限がないため、受験者数も多くなっています。平成30年度の受験者数は42,976名となっており、そのうち合格したのは3,918名。合格率はわずか9.1%です。この数字はほかの資格試験と比較しても大変低く、難易度が非常に高い試験であることがわかります。じっくり時間をかけて受験対策を行うことが必要でしょう。

3-5.問い合わせ先

電験の資格試験に関する問い合わせは「一般財団法人電気技術者試験センター」で受け付けています。「試験に関するQ&A」なども紹介されているため、ぜひ参考にしてください。

3-6.おすすめの勉強法

前述したとおり、電験の資格試験は非常に難易度が高いため、独学で勉強をすすめるのは難しいでしょう。電気科を卒業している人や電気設備系の仕事に就いている人であれば独学でも合格できる可能性はあります。しかし、まったく知識のない状態から始める人は、スクールや通信教育を利用する方法がおすすめです。

4.電験の独立に関するよくある質問

「電験の独立について知りたい」という人が感じるであろう疑問とその回答をまとめてみました。

Q.電気主任技術者の年収はどのくらいですか?
A.平均年収は350~400万円と言われています。独立した場合は500~600万円が平均年収です。ただし、そこまでいくには何年もかけて顧客を開拓していく必要があるでしょう。

Q.電気主任技術者と電気工事士の違いは何ですか?
A.電気主任技術者は電気設備全体の保安を管理する人のことで、電気工事士は工事をする人のことです。電気工事士も国家資格ですが、難易度は電験ほど高くありません。

Q.電験の資格を取得すると資格手当はつきますか?
A.勤め先にもよりますが、5,000~30,000円程度の資格手当がつく会社が多くなっています。特に電気関係の会社では、就職や転職の際にも有利になるでしょう。

Q.電験1種、電験2種、電験3種にはどのような違いがあるのですか?
A.扱える設備の電圧の違いです。イメージ的には、1種は電力会社、2種は大規模な需要設備がある事業所、3種は一般事業所などで電気設備を扱うことができます。

Q.電気主任技術者として独立したいと思っています。経産省の審査をとおるまでの期間はどのくらいですか?
A.承認を得るための審査は厳しく、一般的には半年ほどかかります。

まとめ

電気主任技術者の独立について、その流れやメリットなどをご紹介しました。電気主任技術者は幅広い分野で活躍できる有力な資格です。取得しておくと転職にも大変有利になるため、電気関係の仕事をしていきたいと思っているなら絶対にチェックしておくべきでしょう。独立しても長期にわたって安定した仕事を得ることができるはずです。まずは電験の資格試験について知識を集め、将来について考えてみてください。