電験3種の資格を取れば公務員として働ける? 電気職公務員について解説

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第3種電気主任技術者(以下、電験3種)とは、電気事業法に基づいて事業用電気工作物の保安業務を行える国家資格です。取得すれば仕事の幅が広がったり転職に役立ったりするため、取得を目指して勉強に励んでいる人も多いことでしょう。電験3種の有資格者を求めているところはたくさんあり、その中には自治体や国もあります。つまり、資格を取得すれば公務員として働くチャンスもあるのです。

今回は、電験3種を取得して公務員として働く方法や、近年の公務員採用事情について解説します。

  1. 電験3種の基礎知識
  2. 電験3種の資格を活用し、公務員として働く方法
  3. 電験3種の資格取得方法
  4. 電験3種に関するよくある質問

この記事を読めば、電験3種の資格取得方法や勉強のコツも分かるはずです。電験3種の資格取得を目指す人は、ぜひ読んでみてくださいね。


1.電験3種の基礎知識

はじめに、電験3種の定義や資格を取得するメリットを紹介します。

1-1.電験3種とはどのような資格?

電験3種は、電気主任技術者の資格区分の1つです。1種~3種まであり、取得すれば前述したように、電気事業法に基づいて事業用電気工作物の保安業務を行うことができます。

保安業務ができる電気工作物の種類は、資格区分によって以下のように決まっているのです。

  • 電験1種:すべての電気工作物
  • 電験2種:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
  • 電験3種:電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物。ただし、出力5千キロワット以上の発電所を除く

電験3種を取得すれば、ほとんどのオフィスビルや商業ビル、工場などの電気設備の保守点検ができます。

1-2.電験3種の有資格者が必要とされている理由

事業用電気工作物は、電気保安法によって定期的な自主点検が義務づけられています。電気工作物の整備や点検を請け負う会社に業務を委託することもできますが、施設によっては従業員が点検したり、整備したりする必要があるのです。そのため、有資格者の求人が途切れることはありません。もちろん、事業用電気工作物を設置している施設から依頼を受け、自主点検を請け負っている電気保安協会のような会社からも、求人は常にあるでしょう。

1-3.電験3種の資格を取得するメリット

電験3種は、合格率が数%~10%前後の資格です。有資格者に対して、求人が多い状態が続いています。取得すれば、出世や昇給のチャンスがアップするだけでなく、転職にも大いに役立つはずです。また、会社に属して一定の実務経験を積めば独立もできます。そのため、資格を活用して70代以降になっても働く人こともできるでしょう。

2.電験3種の資格を活用し、公務員として働く方法

この項では、電験3種の資格を求めている自治体の職場や公務員として働く方法を紹介します。

2-1.電気職公務員について

電気職公務員とは、電気に関する資格を取得して自治体が管理・運営する施設の電気設備の整備や管理を行う仕事です。電気職公務員として採用されると、地下鉄や鉄道・上下水道施設の電気設備の保守管理を任されることが多いでしょう。また、自衛隊の施設で電気設備の保守管理を行うこともあります。

2-2.電気職公務員と電験3種

電気職公務員は、自治体ごとに採用されます。公務員として働くには、市町村が実施する試験を受けなければなりません。電気職公務員の募集がある場合、電気関係の資格を持っていないと受験資格がないという自治体がほとんどです。電験3種を取得していれば、ほぼすべての自治体で電気職公務員の試験を受けることができるでしょう。

2-3.資格を取得し、公務員試験にチャレンジするメリット

電気職公務員をはじめとする技術職公務員は、社会人採用枠を設けている自治体が多いのが特徴です。たとえば、横浜市の場合は技術職の受験資格が、民間会社での職務経験が5年以上ある31~59歳までとなっています。つまり、電験3種を取得した場合、転職先がより幅広くなるということです。特に、40代以降で転職先を探している場合、安定性の高い公務員は非常に魅力的な職場でしょう。

2-4.電気職公務員になるには?

電気職公務員になるには、自治体の採用試験を受けて合格する必要があります。募集は年に1度程度なので、自治体のサイトをこまめにチェックしましょう。試験日の2か月前くらいから願書の配布が始まります。ただし、電験3種を取得している人は、試験が免除されるということはありません。募集人数も1~2名ということが多く、狭き門です。試験は、一般常識や電気に関する問題・小論文などがあります。過去問も公開されているので、しっかりと勉強をして試験にのぞんでください。

3.電験3種の資格取得方法

この項では、電験3種の資格取得方法を紹介します。

3-1.資格取得の方法

電験3種の資格を取得するには、電気技術者試験センターが主催する資格試験を受験し、合格する方法が一般的です。実務経験を積んで経済産業省から認定を受ける方法もありますが、基準が厳しいので利用する人は限られています。講習などでは資格取得はできないので、注意しましょう。

3-2.試験内容

電験3種の試験は、理論・電力・機械・法規の4科目の学科試験です。科目合格が認められており、6割以上の得点で科目合格となります。3年以内に4科目すべて科目合格できれば総合合格となって資格取得が可能です。なお、試験は計算問題が中心で、電気に関する公式を自由自在に使いこなせなければ、合格は難しいでしょう。ちなみに、電験3種に合格するには工業高校の電気科を修了したレベルの知識が必要と言われています。試験に受験資格は定められていませんが、参考書を丸暗記すれば合格できる試験ではないので、しっかりと勉強をしておくことが大切です。

3-3.試験の申し込み方法など

電気主任技術者の試験は、毎年9月上旬に行われます。詳しい日程は電気技術者試験センターのサイトを確認してください。サイトからは試験の申し込みを電子申請で行うこともできます。試験費用は、4,850円です。

3-4.勉強方法のコツ

電験3種は人気の資格なので、参考書も過去問題もたくさん販売されています。すでに電気工事士などの資格を取得している場合、自分に合った参考書を選んで独学で勉強してもいいでしょう。

4.電験3種に関するよくある質問

この項では、電験3種に関するよくある質問を紹介します。

Q.電験3種を取得すれば、電気関係の仕事は未経験でも資格を活用して仕事ができるでしょうか?
A.はい。未経験でも可という職場もあります。

Q.電験3種を受験したいのですが、自分がどのくらい電気に関する知識があるのか判断できません。
A.まず、電験3種の参考書にざっと目を通してみましょう。何について説明しているのか理解できない場合は、電気数学の勉強から始めるのがおすすめです。

Q.電気工事士より、電験3種を取得しておいてほうが電気職公務員になるには有利でしょうか?
A.はい。多くの自治体では設備の電気工事を行える人ではなく、電気設備の管理ができる人を求めているため、電気工事士より電験3種の有資格者のほうが有利です。

Q.電験3種は、暗記問題は出題されないのでしょうか?
A.出題されますが、暗記問題を全問正解しても合格点に達するのは難しい科目もあります。ですから、計算問題の勉強にも力を入れてください。

まとめ

今回は電験3種の資格を取得して公務員として働く方法などを紹介しました。電験3種を取得すれば、必ず公務員になれるわけではありません。しかし、転職して公務員になりたいという場合は有利になります。資格を取得して民間会社で経験を積み、公務員になって安定した仕事をするという方法もあるので、ぜひがんばって資格を取得しましょう。