電気工事士の資格試験に必要な圧着工具とは?準備する方法と必要性

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電気工事士の資格試験には実技もあり、圧着工具を使用します。電気⼯事⼠として働くことになると日常的に圧着工具を使用することになるため、そろえておく必要があるでしょう。圧着工具とは、一般的な工具とどう違うのかご存じですか? どのようなシーンでどのような使い方をするのか知っておくと、選び方も簡単になると思います。電気工事士の資格を取得しようとしているなら、ぜひ圧着工具のことも知っておいてください。実技試験でどのような工具が必要なのかも調べておきましょう。

この記事では、電気工事士試験を受ける際に知っておくべき圧着工具の必要性や選び方などをまとめてご紹介します。

  1. 圧着工具について
  2. 電気工事士と圧着工具
  3. 電気工事士試験の実技試験について
  4. 電気工事士試験に必要な圧着工具をそろえよう
  5. 電気工事士資格取得のコツとポイント
  6. 電気工事士試験に関するよくある質問

この記事を読むことで、電気工事士の資格試験を受ける前に必要な準備についてわかります。圧着工具をそろえようと思っている人はぜひ参考にしてみてください。


1.圧着工具について

まずは、圧着工具とはどのようなものを言うのか解説します。使用目的や種類、価格など、ぜひ参考にしてみてください。

1-1.圧着工具とは?

圧着工具とは、ケーブルと圧着端子を圧縮接合するための工具です。電気コードの配線で使われる端子をつぶすことで、コードと配線を確実に接続します。以前は配線同士を直接ハンダして接続する方法が一般的でした。しかし、1925年ごろにヨーロッパやアメリカで圧着による接続方法が開発され、日本にも急速に普及したと言われています。圧着機能以外に電線を切断するカッター機能や電線被覆の皮をむくワイヤーストリッパー、ボルトを切断するボルトカッター機能などが付いているのが特徴です。

1-2.どんなときに使うのか?

圧縮工具は、配線コード同士をつなぐ場合などに使用されます。端子のかしめや圧着だけでなく、配線コードの切断や被覆をむくこともできるだめ、圧縮工具を使うことでより効率的、かつ安全な接続が可能です。電気修理のほとんどはコードを器具や別のコードに接続する作業であるため、圧着工具が必要な場面は非常に多いと言えるでしょう。

1-3.ほかの工具との違い

圧着工具がほかの工具とどのように違うのか、疑問に思う人も多いでしょう。まず、多機能であるという点、そして、確実な接続ができるという点が大きな違いです。たとえば、配線コードを切るだけの作業であればニッパーでもできます。しかし、圧着工具だと切った配線コードの被覆をそのままむき取ることもできるのです。

配線コードの被覆をむき取ることはワイヤーストリッパーでもできますが、その両方を兼ね備えたのが圧着工具ということになります。さらに、圧着工具はギボシ端子を付けることも可能です。端子のツメをつぶすだけのラジオペンチと違い、配線に端子のツメが食い込むように接続できるため、接触不良などを防いで確実に取り付けることができます。また、圧着端子を付けることもできるという点も、ほかの工具とは大きく異なるでしょう。

1-4.種類

圧着工具にはさまざまな種類があり、電気工事士として働く人は仕事の内容や使いやすさよって使い分けをしています。いくつか種類をご紹介しましょう。

  • リングスリーブ用
  • 裸端子用
  • 閉端子用

電気工事士のほとんどが使用しているのが、リングスリーブ用のハンドブレスと呼ばれる手動式圧着工具です。電気工事士の試験で必要なものもあるため、覚えておきましょう。

1-5.価格

圧着工具の価格は幅広く、3,000円程度で購入できるものもあれば30,000円ほどするものもあります。電気工事士が作業に使う圧着工具には耐久性も求められるため、簡単に壊れることのないしっかりした工具を用意する必要があるのです。そのため、使用頻度の高いプロの職人さんは高い圧着工具を持っています。「資格試験を受けたいだけで電気工事士として働く予定はない」という場合であれば、安い工具でも問題ないでしょう。

2.電気工事士と圧着工具

次に、電気工事士という資格について解説します。その仕事内容や圧着工具の必要性について考えてみましょう。

2-1.電気工事士とは?

電気工事士とは、電気工事に従事する上で必要な国家資格です。自宅や施設など、電気設備がある場所では配線工事などが必要になります。電気のショートや火災などの危険性を防ぐためにも、こういった工事はちゃんとした資格を持った人が行わなければならないのです。第1種電気工事士と第2種電気工事士があり、従事できる電気工事の範囲が異なります。人手不足や省エネ化などの背景もあり、電気工事の需要が増え続けている今の時代、電気工事士の資格は幅広く活躍できるものとして重宝されているのです。

2-2.仕事内容

電気工事士の仕事は、一般住宅やビル、店舗などの施設において電気設備の設計や施工を行うことです。第2種電気工事士は600ボルト以下で受電する設備の工事に従事できます。そして、第1種電気工事士は第2種の範囲に加えて最大電力500キロワット未満の施設で電気設備の工事が可能です。そのため、電気工事会社をはじめ、建設・建築会社や家電メーカーなどが主な就職先となり、将来も安定した仕事を得ることが可能となるでしょう。

2-3.圧着工具の必要性

電気設備は安全に使うことができなければなりません。万が一設備に不備があれば、火災などが発生する危険性もあるのです。そのため、国家試験をクリアした有資格者だけが、電気設備の工事ができるわけです。

圧着工具は、電気工事士が確実に仕事をするために必要なものです。いくら技術があっても道具がないと工事はできません。作業の内容や自分にとって使いやすい圧着工具を使用することは、電気工事士にとって何よりも大切なことなのです。

3.電気工事士試験の実技試験について

では、電気工事士の実技試験はどのように行われるのでしょうか。必要な工具についてもご紹介します。

3-1.実技試験概要

電気工事士の資格試験は、一次試験が筆記、二次試験が実技になります。筆記試験はマークシート形式であるため、比較的難易度も低めです。問題は実技試験であり、ここで挫折する人も少なくありません。実技は、事前に公表された13問の課題から1問が出題され、与えられた40分間で材料同士を配線図どおりに工事する試験です。何度も繰り返し練習していれば自然と手が動くはずですが、一夜漬けで何とかなる問題ではないということを覚えておきましょう。

3-2.工具の必要性について

実技試験に使う材料は試験会場で用意されています。しかし、工具は自分で用意したものを持って行く必要があるのです。そのため、試験に合わせて必要な工具を購入する必要があるでしょう。使いにくい工具を購入してしまうと実技試験も失敗しやすくなるため、慎重に選んで用意しなければなりません。資格取得後も使用することを考えて、じっくり検討しましょう。

3-3.試験に必要な工具リスト

電気工事士の実技試験で必要な工具は以下のとおりです。

  • ペンチ
  • プラスドライバー・マイナスドライバー
  • ナイフ
  • スケール
  • ウォーターポンププライヤー
  • リングスリーブ用圧着工具

試験用としてセットになったものも販売されているため、そろえるのが大変な人はチェックしてみてください。

4.電気工事士試験に必要な圧着工具をそろえよう

圧着工具を購入する上で知っておくべき情報をご紹介します。

4-1.購入先

圧着工具はホームセンターや工具店でも販売されています。「直接目で見て選びたい」という人は足を運んでみるとよいでしょう。また、通販でもさまざまな種類の工具を購入できます。種類も数量も豊富でじっくり選ぶことができるためおすすめです。店舗で購入するより安くなっている場合が多いため、探してみるとよいでしょう。

4-2.価格

試験用のセットであれば、8,000~12,000円程度で購入できます。練習用の材料もセットになっているものだと30,000~40,000円程度になるでしょう。そのほかにも、ケーブルストリッパーや工具箱など、試験に持って行くと便利なものについてもチェックしてみてください。

4-3.セット紹介

前述したとおり、実技試験に必要な工具がセットになっているものもあります。一つずつそろえるより安く、初心者が使いやすいものが揃っているためおすすめです。また、工具にはさまざまな種類がありますが、試験用のセットとして販売されているため、間違えることもなく選ぶ手間も省くことができます。練習用の材料がセットになっているものもあるのでぜひチェックしてみてください。

4-4.中古品について

少しでも安く済ますことができるため、中古で工具をそろえる人もいます。しかし、中古品はあくまでも中古品です。練習では問題なく使うことができても、本番で突然壊れてしまったケースもあります。合格できるはずだった試験が失敗に終わってしまう可能性もあるため、中古品はできるだけ使わないようにしましょう。

5.電気工事士資格取得のコツとポイント

電気工事士の資格試験に合格するためのコツやポイントをご紹介します。どのように勉強すればよいのでしょうか。

5-1.過去問題を攻略する

いくら実技の練習を重ねていても、筆記試験に合格できなければ意味がありません。筆記試験をクリアするためには、過去問題を攻略するのが一番です。電気工事士の筆記試験は毎回似た構成で、出題分野ごとの配分もほとんど同じになっています。そのため、過去によく出題されている問題を重点的に勉強した方が効率的でしょう。過去5年分の問題を繰り返し解き、解説を読んで理解していく方法で勉強をすすめることをおすすめします。

5-2.すき間時間を有効活用する

試験に向けて工具なども準備しなければならないため、たっぷりと余裕のあるスケジュールを立てるようにしましょう。単線図から複線図を描く練習や実技の練習もしなければなりません。筆記試験の勉強はできるだけすき間時間を有効活用してすすめていくようにしましょう。まとめて勉強する時間を作ると負担になり、試験までモチベーションを維持できなくなることもあります。できる時間を見つけて少しずつ手を付けていけば、最後までやる気を保ったまま試験に臨むことができるでしょう。

6.電気工事士試験に関するよくある質問

電気工事士の資格取得を目指す人が感じる疑問とその回答をまとめてみました。

Q.第1種電気工事士と第2種電気工事士では、試験の難易度がどのくらい違いますか?
A.第1種の合格率は毎年25~35%程度です。第2種が40%以上の合格率であることからも、難易度の違いがおわかりいただけるでしょう。筆記試験・実技試験ともに、第1種の方が難しくなっています。

Q.電気工事士の資格試験を受けるのに、受験資格はありますか?
A.受験資格はありません。ただし、第1種電気工事士は免許を交付してもらうのに所定の実務経験が必要です。試験に合格しただけでは電気工事士として働くことができないということを覚えておきましょう。

Q.試験の過去問題はどこで手に入りますか?
A.書店に行けば市販の問題集を購入できます。また、電気技術者試験センターのホームページで過去に実施された試験の問題と解答を公表しているため、参考にしてください。

Q.電気工事士の資格試験はいつ実施されていますか?
A.1年に1~2回実施されており、各都道府県の会場によって日程は異なります。詳細は電気技術者試験センターのホームページをチェックしてください。

Q.第1種電気工事士と第2種電気工事士の試験を同時に受けることはできますか?
A.できます。ただし、第2種の試験に不合格だった場合、第1種に合格したとしても所定の実務経験が必要となっているため免状は取得できません。第2種電気工事士の資格を取得してから実務経験を積み、第1種を受験する人がほとんどです。

まとめ

電気工事士の資格試験や試験に必要な圧着工具について詳しくご紹介しました。圧着工具とは、電気工事士として働く上でなくてはならないものです。資格試験でも必要になるため、早めに準備しておきましょう。「なぜ必要なのかわからない」「自分で選ぶ自信がない」という人は、ぜひこの記事を参考にしてください。電気工事士の資格をスムーズに取得するために、必要な知識を集めておきましょう。