配線設計とは? 必要な資格と取得のコツも徹底解説します!

はてなブックマークに追加 Twitterでシェア Facebookでシェア

電化製品を快適・安全に使うためには、適切な配線が必要不可欠です。そのためには、配線に関する正しい知識を持っていることが条件となります。では、配線設計を行うためにはどんな知識や資格が必要なのでしょうか。

今回は、配線設計について詳しく解説するだけでなく、必要な資格と取得のコツなどについても解説します。

  1. 配線設計とは?
  2. 配線設計に関する資格について
  3. 電気工事士について
  4. 電気主任技術者について
  5. 配線設計に関するよくある質問

この記事を読むことで、配線設計の基本がわかり、必要な資格取得に向けて適切な準備を進めることができます。まずは、記事をじっくり読んでみてください。


1.配線設計とは?

最初に、配線設計の基本として、どんなところで必要か、仕事の詳細などについて詳しく解説します。

1-1.配線とは?

配線とは、電気設備及び通信設備に導線を接続して電流や通信信号を伝えるようにすることです。配線がなければ、電気設備や通信設備を必要な場所で使うことが困難になります。屋内配線・屋外配線ともに、適切かつ合理的に設計・施工することで各種設備を快適に使うことができるのです。

1-2.配線はどんなところで必要か

配線は、電気設備や通信設備を必要とする場所ならどこでも必要です。どんなに優れた設備も、配線による電源供給があるから使うことができます。電気設備や通信設備において、配線は欠かすことができないものであり、重視するべきものなのです。

1-3.配線設計の仕事について

配線設計の仕事について、主な職場や仕事内容・メリットを学びましょう。

1-3-1.配線設計の主な職場

配線設計は、電気設備を扱う企業が主な職場となります。たとえば、以下のようなところです。

  • 電気設備会社
  • 電気工事会社
  • 電気管理会社
  • 家電メーカー
  • IT機器販売会社
  • 建築会社

1-3-2.配線設計の仕事内容

配線設計の仕事内容は、主に以下のようなものがあります。

  • 照明・スイッチ・コンセントなど各種電気設備の配置設計
  • 配線工事の指示・監督
  • 配線の保守及び交換

1-3-3.配線設計のメリット

配線設計は、電気設備を合理的に配置し、使い勝手を高めることができる点がメリットです。いい加減に配置していては、配電線が絡み見た目にもスマートではありません。また、ほこりがたまりやすくなり、電気設備がショートする原因にもなります。配線設計は、電気設備を快適で安全に使用することができる点でも大きなメリットと言えるでしょう。

配線設計は、電気や建築に関わる職場で広く行われているんですね。
はい。電気が少しでも関わる仕事なら、必要になると思っていいでしょう。

2.配線設計に関する資格について

配線設計に関する資格にはどんなものがあるか、必要性・メリットや合格率・難易度を含め、解説します。

2-1.配線設計に関する資格にはどんなものがある?

配線設計に関する資格には、主に以下のようなものがあります。

  • 電気工事士
  • 電気主任技術者
  • 電気工事施工管理技士
  • 配電制御システム検査技士
  • • 建築設備士

上記のうち、国家資格である電気工事士と電気主任技術者が特に人気・需要が高いのでおすすめです。

2-2.資格取得の必要性やメリットについて

配線設計の資格は、電気の配線を正しく行うために必要不可欠です。間違った配線を行うと電気設備が正常に使えないだけでなく、ショートや漏電を起こし、大事故につながります。電気設備を安全に使用するためにも、配線設計は重要です。資格取得者は、配線設計のエキスパートとして職場で優遇されるため、就職・転職で有利となり、昇給や昇進の手がかりにもなるなど、多くのメリットがあります。

2-3.配線設計に関する資格の合格率や難易度

配線設計に関する資格は、種類によって合格率や難易度が異なります。中でも、電気工事士と電気主任技術者は国家資格ですが、電気工事士は、第一種60%前後で第二種50~60%です。また、電気主任技術者は、第一種4%程度・第二種5%程度・第三種8%程度となります。単に数字で判断するのではなく、きちんと計画を立てて勉強を進めましょう。

配線設計に関する資格はいろいろあるんですね。
はい。その中でも電気主任技術者は取得すれば、かなり需要が高く仕事の幅も広がるでしょう。

3.電気工事士について

電気工事士について、資格概要・試験の詳細・講習・勉強方法を解説します。

3-1.電気工事士の資格概要

電気工事士とは、電気設備の工事を行うために必要な資格です。電気工事は、電気に関する正しい知識によって安全に十分配慮しながら行う必要があります。そのため、無資格の人が工事を行うことはできません。なお、電気工事士には以下の2種類があり、それぞれの担当できる範囲は以下のとおりです。

  • 第一種:第二種の範囲及び最大電力500キロワット未満の工場やビルなどの工事
  • 第二種:一般住宅や店舗などの600ボルト以下で受電する設備の工事

3-2.電気工事士の試験について

電気工事士の試験について詳細を解説します。

3-2-1.受験資格

電気工事士に受験資格はありません。実務経験の有無も問わないため、未経験者でも試験対策をし、合格を目指すことができます。ただし、二次試験は技能試験であるため、経験者が有利なことには違いありません。受験資格がなくても合格を手にするためには、きちんと計画を立てて勉強しましょう。

3-2-2.試験概要

電気工事士の試験概要は、以下のとおりです。

  • 試験日程:第一種(一次試験・筆記)10月上旬(二次試験・技能)12月上旬、第二種(一次試験・筆記)6月上旬もしくは9月下旬(二次試験・技能)7月下旬もしくは12月上旬
  • 試験地:北海道から沖縄まで全国10地区
  • 受験料:第一種(インターネット10,900円・郵送11,300円)・第二種(インターネット9,300円・郵送9,600円)
  • 申し込み方法:インターネットもしくは郵送
  • そのほかの注意点:第二種は2回のうちいずれか1回だけ受験可能

なお、より詳しい内容は、一般財団法人電気技術者試験センターの試験案内ページを参考にしてください。

3-2-3.試験内容

電気工事士の試験内容は、以下をご覧ください。

  • 試験時間:第一種(一次試験・筆記2時間20分、二次試験・技能1時間)、第二種(一次試験・筆記2時間、二次試験・技能40分)
  • 試験科目:第一種の詳細はこちら・第二種の詳細はこちら
  • そのほかの注意点:筆記試験はマークシート方式

それぞれの試験で決められた入室時刻に遅れた場合、受験不可となることがあるので注意してください。

3-3.電気工事士の講習について

電気工事士の試験対策は、独学だけで進めるほかに、講習に参加する方法もあります。経験豊富な講師が、試験の傾向と対策をわかりやすく講義してくれるものです。民間の資格学校などで試験前に実施することがあるため、受講したい人はこまめにチェックしておくといいでしょう。講習でも受け身でいるだけでなく、疑問があったら積極的に質問するなどして活用してください。

3-4.電気工事士の勉強方法について

電気工事士の資格試験を突破するためには、自分の弱点を補強し、試験までに補っておくことが大切です。また、試験の傾向をつかむために過去問や練習問題をこなしておきましょう。

電気工事士も取得すれば役立ちそうですね。
もちろんです。電気工事を行う職場では欠かせません。

4.電気主任技術者について

電気主任技術者について、資格概要・試験の詳細・講習・勉強方法を解説します。

4-1.電気主任技術者の資格概要

電気主任技術者とは、発電所・変電所・受電所(工場・ビルなど)において受電設備や配線などの工事にかかわる資格です。電気の特質を正しく理解し、適切な工事を行うために電気主任技術者の資格取得が必要となります。なお、電気主任技術者には第1種・第2種・第3種の3種類があり、それぞれの担当できる範囲は以下のとおりです。

  • 第1種:すべての事業用電気工作物
  • 第2種:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
  • 第3種:電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物

4-2.電気主任技術者の試験について

電気主任技術者の試験について、詳細を確認しておきましょう。

4-2-1.受験資格は?

電気主任技術者には、受験資格はありません。年齢・性別・学歴・国籍を問わず受験できます。実務経験の有無も問わないため、未経験者でも希望する人は受験可能です。高校や大学などの在学中に資格を取得し、就職を有利に進めることもできます。

4-2-2.試験概要

電気主任技術者の試験概要は、以下となります。

  • 試験日程:(第1種及び第2種)一次試験9月上旬ごろ・二次試験11月下旬ごろ、(第3種)9月上旬ごろ
  • 試験地:(第1種及び第2種)北海道から沖縄まで全国10か所、(第3種)全国36か所
  • 受験料:(第1種及び第2種)郵送12,800円・インターネット12,400円、(第3種)郵送5,200円・インターネット4,850円
  • 申し込み方法:郵送もしくはインターネットで申し込み
  • そのほかの注意点:第1種と第3種、もしくは、第2種と第3種の併願受験が可能

なお、より詳しい内容については、一般財団法人電気技術者試験センターの試験案内ページを参考にしてください、

4-2-3.試験内容

電気主任技術者の試験内容は、以下をご覧ください。

  • 試験時間:(第1種及び第2種)一次試験4科目合計335分・二次試験2科目合計180分、(第三種)一次試験4科目合計335分
  • 試験科目:(第一種及び第二種)一次試験は理論・電力・機械・法規の4科目で二次試験が電力・管理及び機械・制御の2科目、(第三種)一次試験は理論・電力・機械・法規の4科目だけで二次試験はなし
  • そのほかの注意点:一次試験はマークシート式・二次試験は記述式

なお、試験開始20分前までに集合となるので遅れないように注意しましょう。

4-3.電気主任技術者の講習について

電気主任技術者試験の合格を目的とし、各地で講習が開かれることがあります。試験対策のひとつとして参加してみるのもよいでしょう。

講習は、試験の出題傾向や間違いやすいところや重要なポイントなどを重点的に解説するものです。東京や大阪など、大都市での開催が多くなるでしょう。自治体や民間の資格予備校など、開催する予定があるかチェックし、積極的に利用することをおすすめします。

4-4.電気主任技術者の勉強法について

電気主任技術者試験に合格するためには、出題傾向をつかみ、効率よく勉強することが大切です。過去問を入手し繰り返し解くことで、試験の傾向がわかるだけでなく、実践力が高まります。また、きちんと学習計画を立てて早めに取りかかるようにしましょう。また、市販の教材を利用して、多くの問題を解くことも効果的です。

電気主任技術者の資格試験は難易度が高いんですね。
はい。ですが、挑戦する価値は十分にあります。

5.配線設計に関するよくある質問

最後に、配線設計に関するよくある質問に回答します。それぞれの内容を確認し、疑問解決や資格取得に役立ててください。

Q.配線設計の仕事は女性でもできるでしょうか?
A.配線設計の仕事は、知識があれば男性・女性の区別はありません。女性でも、活躍している人はたくさんいます。女性だからということで気後れする必要はありません。積極的に職務に励み、実務経験を積んでいきましょう。手に職をつけておくことで、出産後の職場復帰や再就職などにも有利になります。

Q.電気主任技術者と電気工事士は両方取得するべきですか?
A.両方の資格取得ができれば理想的です。しかし、1回に両方の合格を目指すと大変ですからいずれか片方ずつ取得していくといいでしょう。電気主任技術者と電気工事士のどちらが自分のやりたい仕事に近いかを考え、優先順位をつけて受験してください。電気主任技術者も電気工事士も電気関連の仕事であり、それぞれの勉強が役に立つことでしょう。

Q.配線設計の実務経験はどこで積むことができますか?
A.配線設計の知識だけならば机上で学ぶことができます。しかし、実務経験は現場において積むことができるものです。未経験者や経験が少ない人は、比較的簡単な仕事から入ることでしょう。まずは、未経験者や経験が少なくても入れる職場に就職しましょう。先輩たちの仕事ぶりを参考にしたり、さまざまなケースをこなしたりすることで自然と実務経験を積むことができます。

Q.配線設計の仕事で独立することはできますか?
A.配線設計の仕事で十分に実務経験を積み、独立することは可能です。自分の技術力に自信があり、自由に仕事をしたい人は独立を考えてみるといいでしょう。ただし、企業に属している状態とは、状況が異なります。独立した場合、自分で仕事を取ってくる必要があるからです。独立を目指す人は、実務経験を積むことのほかにも、人脈を広げておくことを忘れないようにしましょう。

Q.配線設計の仕事で収入アップを目指すために必要なことは?
A.配線設計の仕事も、スキルと経験によって昇給・昇進する可能性はあります。しかし、技術は日々進化しているため、新しいことを吸収しようとする姿勢が大切です。また、上位の資格や関連資格に挑戦し、自分の担当分野を広げることも役立つでしょう。マネージメントが向上するとさらに昇給しやすくなります。なお、企業内で昇給を目指すだけでなく、転職でより良い条件のところに行くことも考えてください。

まとめ

今回は、配線設計について詳しく解説しました。配線設計を行うためには、電気関連の正しい知識が必要です。たとえば、電気主任技術者や電気工事士の資格を持っていると現場で重宝すされることでしょう。適切な配線は、電気設備などを快適に使うためだけでなく、ショートや漏電を防ぐなど安全面でも必要性が高いのです。責任を持って職務に当たるためにも、知識の吸収とスキルアップに励みましょう。資格取得は、配線設計の仕事を進めるために必ず役立ちます。試験に合格するためには、計画をきちんと立て、無理なく準備してください。過去問や市販の教材などをうまく活用すれば合格を手にすることができるでしょう。